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欧州

2025.03.21 17:00

ウクライナの無人機がロシア空軍基地を三たび攻撃 大量の弾薬爆破か

ロシア南部サラトフ州エンゲリスにあるエンゲリス2空軍基地に着陸するロシア空軍のTu-95MS戦略爆撃機。2019年10月(Fasttailwind / Shutterstock.com)

ロシア南部サラトフ州エンゲリスにあるエンゲリス2空軍基地に着陸するロシア空軍のTu-95MS戦略爆撃機。2019年10月(Fasttailwind / Shutterstock.com)

ウクライナのドローン(無人機)が20日夜、前線から650kmかそこら離れたロシア南部サラトフ州サラトフ市近郊にある戦略爆撃機の拠点、エンゲリス2空軍基地を攻撃した

広大な基地内に備蓄されていた大量の弾薬に引火し、基地周辺の家屋の屋根を吹き飛ばすほどの連続爆発を引き起こしたもようだ。

エンゲリス2空軍基地やその爆撃機連隊を狙った攻撃はこの2カ月半ほどで3回目だ。この夜の空襲によって、Tu-95、Tu-160両戦略爆撃機を含むロシア空軍爆撃機が、ウクライナの都市に向けて繰り返し発射している巡航ミサイルの一部が破壊された可能性がある。

ウクライナは1月8日、この空軍基地への燃料補給施設をドローンで攻撃し、最大80万tの燃料が貯蔵されていた施設で大規模な火災を引き起こした。さらに、数日続いた火災がようやく鎮火した直後だった同月14日、ウクライナのドローンは再び同じ施設を襲った。「悪しき者に平安はない」とウクライナの政府機関、戦略コミュニケーション・情報安全保障センター(SPRAVDI)は当時コメントしていた

エンゲリス2空軍基地に対する一連の攻撃は、米陸軍の用語で言う「爆発の左側(left of the boom)」で対処するというウクライナ軍の努力のひとつだ。イラクやアフガニスタンで路傍爆弾による待ち伏せ攻撃を防ぐために、米軍は問題を先回りして、爆弾を製造・供給する人物を追い詰めることを学んだ。左から右に進む時間軸で攻撃の「左」、つまり攻撃の前の時点でそれをつぶすというものだ。

ウクライナは米欧製防空ミサイルの不足もあって、ロシア軍の爆弾やミサイル、ドローンを近くまで飛んできた段階で迎撃するのに苦労している。そのためウクライナも爆発の左側を狙って、ロシア領内の弾薬庫や航空燃料基地、ドローン工場などに対するドローンやミサイルでの攻撃を増やしてきた。

防空網の穴

今週、ドナルド・トランプ米大統領とそれぞれ電話協議したロシアのウラジーミル・プーチン大統領とウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、エネルギー施設を対象とする停戦に同意した。ウクライナの電力施設やロシアの石油施設は、ミサイルやドローンによる攻撃からある程度解放されるかもしれない。

次ページ > 「爆発の前」段階でたたく努力を続けるウクライナ

翻訳・編集=江戸伸禎

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