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経営・戦略

2025.03.21 13:00

トランプのメディア企業幹部がSPAC新設、「暗号資産」系企業を買収へ

デビン・ニューネスとドナルド・トランプ米大統領(Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

デビン・ニューネスとドナルド・トランプ米大統領(Tom Williams/CQ-Roll Call, Inc via Getty Images)

トランプ米大統領が2021年に設立したメディア関連の事業体、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)の上級幹部3人が、新たに特別買収目的会社(SPAC)を設立し、暗号資産関連の企業の買収を目指していることが、3月14日に米証券取引委員会(SEC)に提出された届出書類で明らかになった。

この動きは、トランプ政権が暗号資産分野の規制を整備する中で進むことになる。

ケイマン諸島で設立されたSPACの「Renatus Tactical Acquisition Corp I」は、新規株式公開(IPO)と私募を通じて1億7900万ドル(約265億円)以上を調達する計画で、そこから得た資金で他社を買収しようとしている。

このSPACの経営陣は、いずれもトランプのメディア企業と深いつながりを持つ人物だ。Renatus TacticalのCEOであるエリック・スワイダーは、TMTGの取締役も務める人物であり、同社と合併した企業の元CEOでもある。また、Renatus Tacticalの会長には、TMTGのプレジデントでCEOのデビン・ニューネスが就任する。さらに、Renatus Tacticalの最高執行責任者(COO)には、TMTGと合併した企業の元プレジデント、アレクサンダー・カノが着任する。

Renatus Tacticalは、暗号資産やブロックチェーン、データセキュリティなどの分野の企業の買収を狙っているが、これらの業界は、政府の規制や公的機関との取引が重要な要素となる。現状で企業の合併や規制の審査を担当する機関であるSECや司法省(DOJ)、連邦取引委員会(FTC)のトップは、トランプが任命した当局者たちが務めている。

トランプが創設したトゥルースソーシャルを運営するTMTGが、2024年3月にSPACの「デジタル・ワールド・アクイジション(DWAC)」との合併によって上場を果たした際、ニューネス、スワイダー、カノの3人はいずれも、この取引に深く関与していた。

ニューネスは、2022年1月に共和党の議員を辞職してTMTGのCEOに就任した。一方、スワイダーは、DWACが最初にSECに登録された際に同社の取締役を務めていた。カノもまたDWACの投資家窓口の責任者を務めていた。

相次いだスキャンダル

TMTGとDWACの合併計画は、2021年10月に発表されたが、承認されたのはその2年以上後の2024年3月だった。この29カ月間の間に、この2社にはさまざまな疑惑が持ち上がり、SECは、元DWACの取締役と他2名をインサイダー取引で起訴し、DWACは不正会計を認めて、ナスダックでの上場廃止の瀬戸際に追い込まれていた。

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編集=上田裕資

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