ネットフリックスの新たなヒット番組、英国の犯罪ドラマ『アドレセンス』は、このジャンルでも珍しく、たった4つのエピソードで構成されている。しかし、その理由はすぐにわかる。1時間のエピソードがすべてワンカットで撮影されているからだ。
しかし、本当にそうだったのだろうか?
そのように疑問をもつのも無理はない。いわゆる映画の「ワンカット」撮影では、壁の向こう側に抜けるシーンなど、密かにカットをしていても、そうでないように見せるテクニックが存在する。しかし、『アドレセンス』の撮影監督によれば、本作品ではそのようなことはまったく行われておらず、視聴者が観たとおりのワンカット撮影がされているという。本作品では実際、手間がかかり、技術的に非常に難しい手法によってワンカットで撮影され、キャストにもカットなしの演技を要求した。
以下、ネタバレがあるので、本作品をまだ観ていない人は注意してほしい。
Variety誌に、この番組の撮影監督であるマシュー・ルイスのインタビューが掲載されている。『アドレセンス』以上にタフなテレビドラマの撮影現場があるのかと思うほどであるが、そのインタビューのなかでルイスは、「カットをつなぎ合わせることは、まったくしていません」と話す。「私にとっては大変でしたが、この作品は1つの長いカットだけで撮影されました」
実際の撮影はどうだったのだろう? 準備作業はどのようなものだったのだろうか? それについても彼は語った。
「計画に多くの時間を割きました。ワンカット撮影ですから、ショットリストなんてありません。使用するエリアの地図を作り、その中でカメラがどう動くかを検討し、私とキャストで、まるでダンスのようにリハーサルをしました。でも、その前からフィル(編集注:監督のフィリップ・バランティーニ)と私はロケ地を探していて、それが決まったら、ルートをプロットし、パズルのピースをすべて納得がいくまで動かしたんです。最大の難関は、本物の住宅から、撮影のために作った偽の警察署までどうやって行くのか、ということでした。だから、郊外にある住宅の近くで、スタジオを探さなければなりませんでした」