トランプ米大統領は、米東部時間3月11日午後にホワイトハウスの外にテスラ車を並べて、イーロン・マスクと共に「モデルS」に乗り込むパフォーマンスを報道陣に見せつけた。
トランプは、その前夜のトゥルースソーシャルの投稿でテスラ車を購入すると宣言し、「イーロンは、我が国を助けるために全力ですばらしい仕事をしている」とマスクを擁護していた。
この投稿でトランプは、米民主党が「テスラを違法かつ共謀的にボイコットし、イーロンと彼が象徴するすべてを攻撃し、損害を与えようとしている」と批判した。彼はまた、「イーロン・マスクという真の偉大な米国人への信頼と支持の証として、明日の朝、新車のテスラを購入する」と述べていた。

トランプは、マスクとともにサイバートラックを含む5台のテスラ車を見学し、運転席に乗り込んで「美しい」「すべてがコンピュータだ」と感想を述べつつ、記者からの質問に答えた。彼は、テスラの新車を小切手で購入し、「ホワイトハウスに1台を置き、スタッフに使わせるつもりだ」と語った。
トランプはまた、「車の運転は好きだが、許可されていない」と発言したが、これは「現職および元大統領は公道上で車を運転できない」という警備上のルールに言及したものと考えられる。
ここ最近のテスラの販売店における暴力行為を「テロ行為だと認めるか」と問われたトランプは、「そうするつもりだ。そして、私がそれをやめさせる。彼らは偉大な米国企業に損害を与えている」と答えた。
マスクがトランプ政権での役割を引き受けて以来、テスラは困難に直面している。全米のテスラの販売店や道路上のテスラ車への破壊行為が報告されており、ここ数日で同社に対する一連の抗議活動が発生している。さらに、欧州でのテスラ車の販売台数も減少している。
また、10日の株式市場ではトランプの関税への警戒感から幅広い銘柄が売られたが、特にテスラの株価は、15%の急落となり、大統領選以降の急騰を帳消しにした。
一方、マスクはトランプ政権の政府効率化省(DOGE)の役割をめぐっても批判を受けており、先週は、ホワイトハウスでマルコ・ルビオ国務長官と口論になったと報じられたが、トランプはその対立を否定した。
マスクは、10日にオンエアされたFOXビジネスのインタビューで、テスラやX(旧ツイッター)、スペースXなどの複数の企業の経営者の仕事と、トランプ政権での職務を同時にこなすことに「多大な困難を抱えている」と明かしていた。
フォーブスは、世界で最も裕福な人物であるマスクの保有資産を11日午後の時点で3251億ドル(約48兆円)と試算している。一方、トランプの資産は約46億ドル(約6800億円)とされている。
マスクは11日のトランプを交えたテスラの見学の場で、「トランプ大統領とその政権の優れた政策のもと、今後2年間で米国内の生産台数を倍増させていく」と語った。