【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

欧州

2025.03.12 08:00

ウクライナ軍が東部トレツクでさらに進撃 新型ドローン「SETH」も投入

Shutterstock.com

Shutterstock.com

ウクライナ東部ドネツク州トレツクで、高層の集合住宅の全体が取り壊されるといった過酷な市街戦を8カ月にわたり繰り広げた末、ロシア側は今年2月上旬、市を制圧したと主張した。

1カ月後、ロシア軍は後退している。ウクライナ国家親衛隊第12特殊任務旅団アゾフ(通称「アゾフ旅団」)を主力とし、陸軍や国家親衛隊、領土防衛隊のほかの部隊で構成されるウクライナ軍側は、2022年2月にロシアが全面侵攻を開始する前に約3万人が住んでいた炭鉱都市のトレツクから、ロシア軍部隊を押し出している。

ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)の9日の作戦状況レポートによると、ウクライナ側は市中心部のドルジュビー通りと、さらに南のブディベリニキウ通りで前進した。

ウクライナ側がトレツク方面で形勢を逆転させた要因は2つありそうだ。ひとつはロシア軍の疲弊、もうひとつはウクライナ軍のドローンの優位性だ。

ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは最新のレポートで、ロシア軍がウクライナに対する全面侵攻で永久に失った人員数(戦死者、重傷者、行方不明者、脱走者の合計)を最大56万人と推計している。また、オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)サイト「Oryx(オリックス)」の集計によると、これまでに撃破されたロシア軍の装備は1万5000点を超える。

人的・物的に甚大な損害を被っているロシア軍は、休息とリセットをひどく必要としている。ウクライナのキリロ・ブダノウ情報総局長は、ロシアが戦力を回復するための休止を必要としているという「あらゆる兆候がある」と語っている

言うまでもなく、ウクライナ側も疲弊している。フロンテリジェンス・インサイトによるとウクライナ軍で永久に失われた人員もおよそ30万人に達するとみられ、予備兵力も少なくなっている。

一方でウクライナ軍には、ウクライナの南部や東部からロシア西部クルスク州にいたる1300kmほどの戦線のほとんどで、重要な強みがひとつある。ドローンだ。

次ページ > アゾフ旅団は自律性の高い新型ドローンを使い始めた

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事