「トランプノミクス2.0は、市場に多くの不確実性と混乱をもたらした」と、バンク・オブ・アメリカのガブリエルらは28日のメモで述べた。市場や金融モデルが最も嫌うキーワードが「不確実性」だが、その不確実性は、トランプの先行きの見えない関税政策の展開の中で広がっている。
テスラ株とビットコインの下落
テスラの株価は、2月に28%下落して約3500億ドル(約52兆6000億円)の時価総額を喪失させ、時価総額が1000億ドル(約15兆円)以上の米国の上場企業銘柄約100の中で、最大の敗者となった。市場では、マスクのホワイトハウスでの役割がテスラの売上に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念が広がっている。
テスラの株価は28日の取引開始時に1%下落し、昨年11月6日以降の最安値をつけたが、その後は回復して4%高で取引を終えた。それでも、テスラ株は昨年12月の史上最高値から約40%下落しており、2月は2010年の上場以来で2番目に悪い月となった。最悪の月は、2022年12月の37%の下落だった。
また、時価総額で世界最大の暗号資産であるビットコインの価格も、トランプの大統領選での勝利後に急騰したが、ここ数週間で勢いを失っている。ビットコインは、28日朝に昨年11月10日以降で初めて8万ドルを割り込んだ。しかし、トランプが選挙戦で推奨していたこのデジタル資産の価格は、28日の午後遅くに8万4000ドル近くにまで急反発した。
「我々は、トランプ政権が経済成長やインフレに長期的な悪影響を及ぼすような政策をとるとは考えていない。それは明らかに政治的に勝てる戦略ではない」とUBSウェルス・マネジメントの米国株式戦略責任者のデビッド・レフコウィッツは28日の顧客向けメモで述べた。彼は、S&P500が年末までに10%以上上昇するというこれまでの予測を維持している。