米トランプ政権で連邦捜査局(FBI)のトップに任命されたカシュ・パテル長官は2月26日の会議で、FBI捜査官の体力向上に向けて、総合格闘技団体UFCとの提携を提案したと、複数のメディアが報じた。この取り組みは、FBI長官に就任したばかりのパテルが打ち出すいくつかの大胆な改革の一環とされている。
ABCニュースによると、パテルはFBIとUFCが正式な関係を築き、捜査官の体力向上を支援するプログラムを導入する可能性を示唆したという。しかし、具体的な内容はまだ明らかにされていない。
UFCのCEOでプレジデントのダナ・ホワイトは、トランプの長年の友人で、これまで何度もトランプを支持する発言をしている。FBIの捜査官は、採用時に体力テストをクリアする必要があり、職務にあたって筋力や柔軟性、持久力を維持することを求められている。
UFCは、契約選手に直接トレーニングを提供していないが、ラスベガスや上海、メキシコのパフォーマンス・インスティテュートと呼ばれる施設で、アスリートの育成を手掛けている。1400万ドル(約20億円)を投じて建設されたラスベガスの施設では、スポーツ医学チームやトレーナーが、選手に食事の栄養指導や体力面やメンタル面のコーチングを行っている。
FBIの本部は、ワシントンD.C.に置かれているが、パテルはラスベガス在住で、「ラスベガスで多くの時間を過ごしつつFBI長官の任務を行う予定だ」と26日に当局者に伝えたと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
パテルは先週、FBI長官の人事を承認されたが、上院の承認投票では共和党のスーザン・コリンズ上院議員とリサ・マーカウスキー上院議員が反対票を投じていた。
パテルは、トランプの忠実な支持者で、トランプが保有するメディア企業の取締役を務めるほか、トランプ関連のグッズや書籍の販売で数百万ドルを稼いでいた。彼は、FBIの重点を国内の暴力犯罪対策に移す方針を掲げており、AP通信によると、1000人以上のFBI職員をワシントンD.C.から、全米のフィールドオフィスへ移動させる計画を進めている。