トランプ米大統領は2月26日、パレスチナ自治区ガザが豪華なビーチリゾートに変貌した様子を描いた人工知能(AI)で生成した動画を投稿した。この動画には、水着姿の大統領やイスラエルのネタニヤフ首相、イーロン・マスクらが、「トランプ・ガザ」の看板を掲げたリゾートでバカンスを楽しむ様子が描かれている。
トランプは、26日深夜にこの動画を自身のトゥルース・ソーシャルのアカウントに投稿した。彼は、数週間前にネタニヤフ首相とともにホワイトハウスで開いた記者会見で、「米国がガザ地区を引き取って開発する」と述べていた。
この動画は、戦争で荒廃したガザの映像から始まり、ビーチ沿いのリゾートの映像へと移行する。そこでは、マスクが食事やダンスを楽しむ様子に続いて、水着姿のトランプとネタニヤフがプールサイドで談笑する場面が描かれている。
AIで生成したと思われるこの動画のリゾート施設は、トランプのブランドを前面に押し出すもので、「トランプ・ガザ」と記された看板やトランプの風船を持つ子ども、巨大な金色のトランプ像などが登場する。
この動画には、陽気なBGMが添えられており、「ドナルドが君を自由にするためにやってくる/すべての人が光を見るために/トンネルはもうない、恐れることもない/トランプ・ガザがついに誕生した」といったフレーズが歌詞に含まれている。
トランプは、今月初めにネタニヤフ首相と会談した際に、米国がガザを引き継ぎ、「中東のリビエラ」に変えると提案した。彼は、現在ガザに住む約200万人のパレスチナ人が、ヨルダンやエジプトなどの周辺国に移住すべきだと述べていた。
トランプは、再開発されたガザが「世界中の人々が住める、信じられないほどすばらしい場所」になると主張した。ネタニヤフ首相は、「他の人が見ようとしないことを言ってくれた」とトランプを称賛し、この計画が「中東を再構築し、平和をもたらす可能性がある」と述べていた。
アラブ諸国は反発
しかし、トランプのガザの復興計画にはアラブ諸国の指導者からの反発が相次いでいる。エジプトのアブデルアティ外相は、同国が「パレスチナ人に対する不正に加担しない」と明言した。ヨルダンのアブドゥッラー2世国王も、「ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人の移住には反対する。これはアラブ諸国の統一された意見だ」と述べていた。
ハマス幹部のイザト・アル=リシュクも、「ガザは売買可能な不動産物件ではない」と非難した。こうした反発を受け、トランプは先週、「彼らが賛成しないことに驚いた」と述べて、「強制はしないが、計画として提案する」と述べていた。
トランプのガザの計画については、一部の共和党議員からも批判が出ている。ランド・ポール上院議員は、「米国はガザに関与すべきではない」と述べて、政府が「アメリカ・ファースト」を優先すべきだと主張した。ジョシュ・ホーリー上院議員も、「ガザを引き継ぐことは米国のリソースの最適な使い道ではない」とし、軍隊の派遣を支持しないと語った。トム・ティリス上院議員は、「この計画が実現するとは思えない。こんなことが理屈に合うとは思えない」と述べていた。