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政治

2025.02.27 15:30

トランプ大統領が今、ウクライナの鉱物資源を欲しがる理由

ウクライナのチタン採掘現場(Shutterstock.com)

ウクライナのチタン採掘現場(Shutterstock.com)

現在も続くロシアとウクライナの戦争に絡んで、ドナルド・トランプ米大統領は米国がウクライナへの支援を継続するのと引き換えに同国の天然資源の権益を得る取引を強引に進めていることが取り沙汰されている。

トランプ自身もこの動きをあからさまに口にし、「合意」は近いと明言した。トランプは26日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が今週米ワシントンを訪れ、協定に署名する見込みであることを明らかにした。両首脳はこのところ互いを非難する舌戦を繰り広げていた。

だがトランプは、協定の見返りとして「ウクライナは戦い続ける権利を得るだろう」と述べた。協定は何を意味するのか。そしてなぜ今なのか。

ウクライナに眠る鉱物資源

ウクライナの鉱物に対するトランプの関心は部分的にはウクライナ側の主張に起因する。ウクライナは、ロシアが実効支配する地域にあるものも含め、鉱物資源の豊富な埋蔵量を繰り返し主張してきた。

ウクライナのユリア・スビリデンコ第一副首相兼経済相によると、リチウムやチタン、その他の鉱物の同国の埋蔵量は欧州で最多という。 ウクライナ政府は、世界の「重要な原材料」の5%が自国にあると主張している。

ウクライナのデータでは、確認されている同国のグラファイト埋蔵量は1900万トン。建設や航空宇宙などさまざまな分野で使用されるチタンの世界生産量に占める同国の割合は、2022年にロシアに侵攻される前は約7%だったことが示されている。

加えて、風力タービンや電子機器の製造など幅広く使用されているレアアース(希土類)の埋蔵量もかなりのものだという。だがウクライナでは現在も戦争が続いており、一部の鉱床はロシアに押さえられているとみられることから、レアアースの埋蔵量についてのウクライナの主張は独立機関によって検証されていない。

なぜ今鉱物に注目するのか?

レアアースや鉱物が世界経済にとって欠かせないものになっていること、そしてデジタル化と交通手段の電動化を前提としたエネルギー転換が進んでいることを踏まえると、トランプがウクライナの天然資源へのアクセスを渇望していることは何ら不思議ではない。

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翻訳=溝口慈子

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