デンマークからグリーンランドを「購入」したいというトランプの発言は、天然資源を獲得したいという考えの表れだ。だがウクライナの天然資源に関しては、トランプの発言は同国にとって青天の霹靂ではなく、むしろ同国が関係している。実際、きっかけはゼレンスキー側によるものだ。
米大統領選がヒートアップしていた昨年9月、ゼレンスキーはトランプと会談した。当時、次期大統領となる可能性があったトランプにウクライナへの支援を継続する明確な理由を提供しようと、ゼレンスキーは初めて鉱物資源に関する協定に触れた。もっともらしい「勝利計画」だった。
そうした流れでトランプは大統領に就任すると、いつものように堂々と鉱物資源の件を持ち出した。そしてウクライナは今、少なくとも譲歩しようとしている。
協定の詳細
両大統領が署名するかもしれない協定の具体的な詳細が待たれる。報道によると、トランプ政権は資源の収益から5000億ドル(約75兆円)を得ることには固執していないようだ。だが、ウクライナが切実に必要としている安全保障も約束していない。
ウクライナ政府関係者は英BBCに、これまでのところ交渉は「前向きなもの」だと語った。だがロシアのウラジーミル・プーチン大統領の介入により、状況はさらに複雑になっている。
プーチンは25日、米国がロシアの鉱物資源にアクセスできるようにする用意があると述べた。「(自国には)ウクライナよりもはるかに多くのこの種の資源がある」とも指摘した。
状況は流動的で、まだ先は長い。だが鉱物があろうとなかろうと、トランプが大統領選挙中に約束したように、ウクライナへのスタンスを変更したことは疑いようがない。