DOGEの取り組みは「憲法違反」
DOGEは、これまで20万人以上の政府職員を解雇し、550億ドル(約8兆2000億円)以上の予算を削減したと主張しているが、同省のウェブサイトで開示されている情報が裏付けるのは、このうち166億ドル(約2兆4900億円)分のみだとブルームバーグは報じている。そんな中、左派系シンクタンクのブルッキングス研究所で上級研究員を務めるノーマン・アイゼンは、DOGEの取り組みが憲法違反だと主張する訴訟を起こしている。
「マスクの会社が連邦政府から長年にわたり莫大な支援を受けてきた事実を考えれば、彼が今その政府に損害を与えているのは、まさに偽善の極みだ。さらに問題なのは、彼の会社と政府との継続的な関係が、これまでの歴史の中で最も深刻なレベルの利益相反を生み出していることだ」と、アイゼンはフォーブスに語った。
リスクを恐れないことで知られるマスクは、21世紀で最も成功した起業家の1人とみなされている。しかし、彼のビジネス帝国は、政府の強力なサポートなしでは実現しなかったはずだ。
テスラとスペースXは、15年以上前にまだ実績のないスタートアップだった頃、連邦政府からの支援を受けて成長の足場を築いた。テスラは、2008年末に破産寸前だったが、エネルギー省の「先進技術車両製造(ATVM)」融資プログラムから低金利の融資を受けて、最初の工場をより早く、より低コストで設立した。その結果、同社は2012年にモデルSの生産を予定通りに開始し、成長軌道に乗っていた。
スペースXもまた、複数の打ち上げの失敗を経てようやくロケットを軌道に到達させたばかりの2008年に、16億ドル(約2390億円)の大型契約をNASAから与えられていなければ、今日の地位を築けていなかったはずだ。
テスラは、今では世界で最も価値のある自動車メーカーとなり、時価総額は1兆1600億ドル(約174兆円)に達している。スペースXの評価額は推定3500億ドル(約52兆4400億円)とされ、世界で最も価値のある未上場企業となっている。マスクの保有資産は現在、3930億ドル(約58兆8800億円)に達しているが、その多くはDOGEとトランプ政権が今まさに削減しているような連邦政府の補助金によってもたらされたものだと考えられる。