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2025.03.19 13:30

「手袋を通して、人類のパフォーマンスを最大化する」スター選手たちの超絶プレーを支えるグローブはどうつくられるか

田中康一|ナイガイ

ターニングポイントとなったのは、1998年のこと。元従業員を介して、スポーツメーカーのミズノから、ゴルフ用グローブの開発・生産の依頼が舞い込んだ。康則は、当時の様子をこう話す。

「チャレンジですよ。キープチャレンジ。でも、苦労はそんなになかったと思う。縫製にはより繊細さが求められたかもしれないが、基本的にはそんなに大きな問題はない。このミズノさんのゴルフグローブを始めたことで、製品や取引先に大きな広がりができたことが非常にラッキーだった」

ナイガイはこれを機にスポーツブランドとの信頼関係をコツコツと積み上げ、2020年には業界でもサプライヤーに対する基準が非常に厳しいとされる、ある世界的な有名スポーツブランドに認められ、野球のバッティンググローブの開発をスタート。それが呼び水となり、現在ではアンダーアーマー、キャロウェイ、テーラーメイドなど多くのグローバル顧客をもつようになった。プーマとミズノのグローバルサプライヤーにも選ばれている。「23年にプーマのドイツ本社にてサプライヤーサミットに参加させていただいたのですが、その場にいた日本人は僕だけでした」。
グローブを提供した有名アスリートたちのサイン入り手袋。

グローブを提供した有名アスリートたちのサイン入り手袋。

入社から11年で社長になった田中は、新たなパーパスを設定した。それが「手袋を通して、人類のパフォーマンスを最大化する」だ。

「私たちが提供する手袋のフィット感や品質は、アスリートや使う人のパフォーマンスに直結します。だからこそ、ナイガイにしかできない強みを持って、これからも丁寧なものづくりをしていきたい。そしていつかは『究極にして至高の手袋』を実現させた自社製品を生み出せたらと思っています」


田中康一◎1983年、香川県生まれ。慶應義塾大学商学部在学中に、バンクーバーへ留学。大学卒業後は、キャロウェイゴルフでの勤務を経て、2011年ナイガイに入社。営業部門や副社長などを経て、23年3代目の代表取締役社長に就任した。新たなパーパスを実現させるべく、世界中を飛び回る。

SUPPORTER’S VOICE

加藤貞則|中国銀行取締役頭取

社員の二割は外国人材、社内共用語は英語のグローバルな社内体制、世界に通用するデザイン力、商品開発力、技術力を生かし、手袋で世界のトップアスリートの活躍と、トップブランドを陰で支えるODM企業です。さらなる飛躍を応援しています。

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文=松﨑美和子 写真=吉澤健太

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