海外

2025.02.13 15:00

オーストラリア発、AI搭載の医療診断ソフト「Harrison.ai」が170億円調達

Shutterstock.com

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香港の富豪、李嘉誠の支援を受けるベンチャーキャピタル(VC)のHorizons Ventures(ホライゾン・ベンチャーズ)が、人工知能(AI)を用いて医療画像診断の精度を向上させるオーストラリアのスタートアップ、Harrison.ai(ハリソンAI)が実施した1億1200万ドル(約170億円)の資金調達ラウンドを共同主導した。

Harrison.aiのこのシリーズCラウンドは、他にオーストラリアの年金基金であるAware Super(アウェアー・スーパー)やECPアセットマネジメントらが共同で主導し、デザインソフトのCanva(キャンバ)の初期投資家として知られるBlackbird Ventures(ブラックバード・ベンチャーズ)らも参加した。

Harrison.aiの累計調達額は、このラウンドで2億4000万ドル(約370億円)を突破したが、同社は評価額を明らかにしていない。

Harrison.aiは、2018年にベトナム生まれの兄弟のエンガス・トランとディミトリー・トランらによって共同創業された。エンガスは、ニューサウスウェールズ大学で心臓外科医の訓練を受けていた。シドニーを拠点とするこのスタートアップは、X線やCTスキャンの画像を解析し、疾患の兆候をより正確かつ迅速に検出するAIツールを開発している。

Harrison.aiによれば、同社のAIツールは現在、オーストラリアや英国、香港を含む1000以上の医療施設で使用されている。

Harrison.aiは今回調達した資金を、米国市場への進出と製品ラインナップの拡充に充てる予定だ。同社は昨年9月に、X線画像に関する自由形式の質問に回答し、レポートを生成できるAIチャットボットを発表した。

「公平で効果的な医療への需要が高まる中、診断を強化し、医療へのアクセスの格差を解消するためのAIツールなどの高度なシステムが求められている」と、同社のCEOのエンガス・トランは述べている。彼は、2020年に発表したフォーブスの『30アンダー30』アジア版に選出されていた。

ホライゾン・ベンチャーズがHarrison.aiに初めて出資したのは、2019年のことだった。このラウンドは、Blackbird Venturesが主導したもので、Harrison.aiは2900万豪ドル(約28億円)を調達していた。

2007年にフェイスブックに投資したホライゾン・ベンチャーズは、AI分野への早期投資でも知られ、アップルに買収される前のSiriや、グーグルに買収される前のDeepMindにも投資していた。

2002年にホライゾン・ベンチャーズを共同創業したソリナ・チャウ(64)は昨年、エナジードリンクメーカーの米Celsius(セルシウス)や、ビデオ会議ツールを提供するZoom株の値上がりによってフォーブスの『香港の富豪50人』リストに初めて登場した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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