なかなかその壁を突破することができず、「外の世界をみた方がいいんじゃないか」と上司に提案を受けて、子会社で新規事業に挑戦することにしました。ですが、そこでもモヤモヤしていたため、一旦会社を辞めることにしました。
藤田:先に辞めたんですね。
佐藤:辞めてからもサイバーほど好きな会社が見つからず、どうしようと思って本当にありとあらゆる人に会いにいきました。
私に「外の世界を見てきたら」と言ってくれた方に、「色々話を聞いていると、ベンチャーキャピタルがいいんじゃない?」って言われて。会社が伸びていく過程も破綻していくところもみている、人脈がある、マネジメントを経験して失敗してきたことも全部生きるのがベンチャーキャピタルだってことだったんですよね。
サイバーエージェントの中に投資部門ができたばかりで、そこでベンチャーキャピタルをやっていると気がついたら9年間もいました。
キャリアの道筋を示すための独立
佐藤:ベンチャーキャピタルをやっているうちに、女性の起業家になかなかお金がつかないのはベンチャーキャピタルが男性ばかりだからなのでは?女性の投資家はいないの?という話が度々上がっていました。そういった話をしているうちに色々なところで登壇する機会が増えていったんです。その時に、平社員で居続けるのは業界にとっても良くないと思って、独立することにしました。藤田:平社員が良くなかったのでしょうか?
佐藤:決裁権を持っていないことが一つの理由です。また、佐藤真希子に会いたいと言ってくださることも増えていたので、次のキャリアを示さないといけないんじゃないかと。
当時、一緒にファンドをやろうと話が上がったこともありましたが、色々あってその座組でやるのは辞めにしたんです。どうしようかなと思っている時に、今のGP(ジェネラルパートナー)と出会いました。
当時は、事業がわかって起業家にとって辛いときのアドバイスができるパートナーになりたいと考えていたので、私よりも圧倒的に経験値を持っている人と組めたらいいなと、iSGSインベストワークスをはじめました。

ファンドは立ち上げないという選択 業界や日本のためにできること
佐藤:1号ファンドでは25億円くらい集めました。事業会社出身のGP3人で立ち上げたファンドだったので、事業を理解できることを強みにしていました。1号かつシードファンドだったので、立ち上げましたということをみせるためにもアグレッシブに投資をして、結果的には65社に投資したんです。3〜4年で組入が終わり、6年目くらいで回収できましたね。
藤田:1号ファンドのパフォーマンスも高く、しかも日本ベンチャーキャピタリスト協会の理事という影響力もある状態で次のファンドをつくらないという選択をされていますよね。
佐藤:2号ファンドも立ち上げて組入が終わった状態なので、2029年までは責任を全うしてやります。