瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。
今回は、アトツギベンチャーの新しい挑戦を支えるベンチャー型事業承継の代表理事 山野 千枝さんをゲストにお迎えした回をご紹介。
各地でスタートアップ創出がさかんな昨今、なぜアトツギに注目するのか。リーマン・ショックを経て後継者不足問題に直面した中小企業経営者との出会いや、アトツギ甲子園の運営を経て見えてきたアトツギを応援することによる変化についてお届けします。
ゼロイチで作る人も、引き継いでより良くする人もかっこいい
山野:ベンチャー型事業承継の山野です。よろしくお願いします。藤田:セトフラと連携している、グローバルでありながら、地域に根差した小さくても偉大な存在を発掘する「スモール・ジャイアンツ」プロジェクトがあります。2018年から年一回やっている「スモール・ジャイアンツ」で山野さんはアドバイザリーボードをされているんですよね。
山野:アドバイザリーボードを立ち上げ当初からしていますが、このアワードは本当にいい企画だと思っています。規模が小さくても強い会社を讃えるというコンセプトが大好きで、Forbes JAPANがこの領域に注目していることに対しても、痺れる嬉しさがあります。
アワードに選ばれている方々にもドラマがあります。諦めずに変革をしてきた人ばかりなので、どの方の話も心が震えます。地方でもグローバルを目指す会社があることも感じられますし、本当にみなさん素晴らしい物語を持っている方ばかりなので、ぜひ一度見ていただきたいな。今年は11月25日に5年ぶりに開催され、私も藤田さんも現地に行く予定です。(詳細はこちら)
藤田:山野さんは、そもそもどんな背景でアトツギ支援に携わるようになったのでしょうか?
山野:元々起業家志向で、スタートアップについて勉強したいなと思い、スタートアップや中小企業の支援をしている大阪産業創造館で働いていたんです。そこでフリーペーパーを発行することになり、2001年から編集長を務め、大阪市内の企業を取材するメディアとして中小企業を取材していました。
その中で、ゼロイチを作るスタートアップもかっこいいけれど、引き継いだものをアップデートし、会社を存続させるために新しいことに取り組んでいく人たちもかっこいいと思うようになって。世の中的に中小企業とスタートアップは分けられていますが、中小企業の人たちも、最初から経営者ではなくアトツギの時代があるものの、そのプロセスが見過ごされていると思うようになったんです。
スタートアップであればオンゴーイングで頑張っている人たちにもメディアが取材に来ますが、中小企業の場合は仕上がってからでないとこない。「本当に頑張って奮闘しているステージに誰も気がついていないのでは?」と、このステージを応援することに価値があると考えるようになりました。そこから、いつの間にかアトツギ支援を始めたんだと思います。