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2025.02.01 17:15

トランプ大統領就任でハワイ移住が難化する!? 増える「駆け込みビザ申請」

最高の気候と自然環境が何よりもハワイの魅力。近年、日本からの移住希望者は増加している

最高の気候と自然環境が何よりもハワイの魅力。近年、日本からの移住希望者は増加している

1月20日(米国時間)の就任式で、第二次トランプ政権がスタートした。就任1週間で大量の大統領令に署名し、パリ協定やWHOからの脱退を表明するなど就任早々、話題に事欠かないところは、さすがはドナルド・トランプという感じだ。

筆者の住むハワイはバラク・オバマ元大統領の出身地であり(出身高校もハワイだ)、言わずと知れた民主党支持州なのではあるが、今回の大統領選では州内にトランプ支持層が増えている肌感覚があった。

何かと派手好きなトランプ大統領を支持するだけあって、ハワイの支持層も街頭でのパフォーマンスなどがやたら派手。それで民主党支持者たちよりも目についたのかもしれない。

ただ、筆者のような米国在住の日本人移民にとって、トランプ政権にはあまり良いイメージがない。それは前回の第一次トランプ政権時の移民政策の厳格化が要因だ。

米国外からの移民が取得することの多い代表的な就労ビザ「H1Bビザ」の収入要件や学歴要件が極端に引き上げられたり、投資ビザと言われる「E2ビザ」の取得や更新の審査が厳しくなったりという傾向が見られた。

実際に当時、筆者の周囲でも日本企業の駐在員がビザの更新ができずに帰国することになったり、後任者がなかなか滞在ビザを取得できないために前任の駐在員の在任期間が延び続けたり、というケースが目立った。

「事業内容や資金繰り、従業員雇用の状況など、ビザ申請後に追加でデータや証明書類を求められ、その都度準備して送ってという作業で大幅にビザ申請の時間がかかった」と語るのは、ある日本企業の駐在員だ。

留学ビザなども含めて米国のビザには多くの種類があるのだが、どのビザを取得する際にも在日米国大使館でのインタビュー(面接)を受ける必要がある。たいていの場合、このプロセスはビザ取得の最終段階になるのだが、この段階で「ビザ却下」となるケースが前回のトランプ政権下ではそれまでと比較して増えたと言われる。

大規模な不法移民取り締まりもビザに影響?

米国で何らかの滞在ビザを取得する場合には、移民法やビジネス法に精通した弁護士を介してビザ申請を行うのが一般的だ。

ある移民法専門の弁護士によれば「前回のトランプ政権でのビザ取得の困難さを聞いたのか、今回のトランプ大統領就任を受けて『ビザの取得に影響が出る前に』と慌ててビザ申請を始めるクライアントが増えています。申請中のクライアントも、トランプ政権でビザ申請に影響があるかと心配して問い合わせてきます」とのこと。

いわば、「駆け込みビザ申請」が増えているわけだ。

当のトランプ大統領の様子を見ていると、現在はメキシコやコロンビアを相手に大規模な不法移民取り締まりにしゃかりきになっており、ある報道によれば、移民税関捜査局(ICE)には1日あたり何人拘束せよとノルマまで課している模様。悪質な移民対策に取り組んでいるうちは、まだ法的に正当な滞在ビザの規制にまで乗り出すのは先になるだろうと見るのが一般的だ。それで、「ビザ申請は今のうちに」と焦る状況になっている。

とはいえ、こんな影響も出ている。前出の移民法弁護士の話によれば、次のような事情もあるようだ。

「そもそも昨今の米国の人手不足の影響で、滞在ビザの審査をする移民局の人員がビザ申請の数に見合っていない。そのせいでビザ審査の待ち時間が増える傾向にあった。それが、今回の大規模な不法移民政策で、そちらに人員を持っていかれることになれば、ビザ審査に関わる人員がさらに少なくなり、申請に要する待ち時間が増大することは容易に予想される」

米国の大規模な「不法移民狩り」のニュースは日本人には他人ごとのように映るが、何を隠そう、この政策も巡り巡って日本人の滞在ビザ申請にも影響を及ぼすという話なのである。呑気にニュースを見ている場合ではない。
次ページ > 「出生地主義」見直しの大統領令

文=岩瀬英介

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