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サイエンス

2025.01.27 17:00

AIを使いすぎると人は愚かになる 研究でわかった「認知的オフロード」のリスクと対策

Shutterstock.com

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人工知能(AI)ツールへの依存が高まるにつれ、特に「認知的オフロード(認知負荷の軽減)」という現象を通じて、批判的思考能力が損なわれる可能性を検証した論文が今月、社会学の学術誌Societiesに掲載された。この研究結果は、たとえば司法や法科学など、テクノロジーへの過度の依存が深刻な結果を伴う過誤を引き起こしかねない高リスク分野でAIを活用する専門家にとって、重大な意味をもつ。

司法の現場では、専門家の証人や弁護士がAIを使用するケースが増加傾向にある。しかし、十分な監督や検証を伴わないAI使用にはリスクが伴う。今回発表された研究結果は、AIの利便性が人間の意思決定や批判的分析の質を低下させるおそれを浮き彫りにし、こうした慣行の危険性をいっそう顕わにするものだ。

認知的オフロードとAIに関する発見

この研究では、幅広い年齢層の参加者666人を対象に、AIツールが批判的思考能力に与える影響を評価した。主な調査結果は次のとおりだ。

・認知負荷の軽減

AIを頻繁に利用する人は、精神的に負荷の大きいタスクをAIに肩代わりしてもらう傾向が強く、問題解決や意思決定においてテクノロジーに頼りがちで、独立した批判的思考を行うことは少ない。

・スキルの低下

AIツールへの依存度の高い人は、時間の経過とともに、情報を批判的に評価したり、複雑で絶妙なバランスが求められる結論を導き出したりする能力が低下することが示された。

・世代間格差

若年層は、年配層と比較してAIツールへの依存度が高く、長期的にみて専門分野における知見や判断力に影響することが懸念される。

AIはワークフローを合理化して生産性の向上に寄与するが、依存が行き過ぎれば、ユーザーがAIツールの生成結果を検証したり、間違いを指摘したりする能力を失う「知識の間隙」が生じるリスクがあると研究チームは警告している。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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