食&酒

2025.01.25 11:45

東京と大阪の「ガチ中華」比較、違いの背景は中国籍の人たちの人口差

大阪の今里は中国系よりむしろベトナム系の人たちの多いエリアで、住宅街の一角にエスニックレストランが並ぶ通りもある

大阪でしか味わえないガチ中華体験

大阪でしか見たことのない世界の筆頭としては、西成にあるシャッター商店街化した動物園前商店街に何十軒も連なる中国系のカラオケ街だろう。

大阪の西成は、いまやインバウンドの街としても有名で、外国人ツーリストが多い。写真の左手に見えるのが星野リゾート「OMO7大阪」で、右手が通天閣。手前左側があいりん地区で、右側に動物園前商店街がある

大阪の西成は、いまやインバウンドの街としても有名で、外国人ツーリストが多い。写真の左手に見えるのが星野リゾート「OMO7大阪」で、右手が通天閣。手前左側があいりん地区で、右側に動物園前商店街がある

このように動物園前商店街では中国カラオケの店がぎっしり軒を連ねる光景が見られる

このように動物園前商店街では中国カラオケの店がぎっしり軒を連ねる光景が見られる

西成といえば、あいりん地区が有名だが、このエリアには、今日、かつてのようなイメージだけでは語れない混沌とした世界が広がる。

JR大阪環状線の新今宮駅あたりを中心に、東西南北を十字に切り分けると、まず西南部は日雇い労働者街だが、そこから環状線をはさんだ西北部は、2022年4月にオープンした星野リゾートの「OMO7大阪」があり、東北部はジャンジャン横丁や新世界のある歓楽街が広がっているからだ。

これらはどこに行くのも徒歩3分圏内で、東南部にあるのが動物園前商店街で、この通りの寂れ方には、独特の異次元トリップ感がある。以前訪ねたときは、若い外国人旅行者が一眼レフ片手にこの商店街を歩く姿を見かけたものだ。彼らにも魅かれる何かがあるに違いない。

昼間は人通りの少ないこの商店街は、夕方以降、カラオケの歌声がこだまする通りに一変する。もともと普通の商店街の店を居抜きでカラオケ屋にしたようで、防音も何もなく、ほうぼうから歌声が響き渡っている。

すぐ近くに外国人向けゲストハウス街があるので、西洋人ツーリストたちがカラオケ屋や商店街の飲食店に出没する姿を見るのも珍しくなくなった。そして、これらのカラオケを営むのが中国系の女性たちというわけである。大阪では知らない人はいないだろう。

いつか潜入してみたい気もしないではないのだが、もともとカラオケは好きではないので、その勇気はなかった。だが、先日会ったディープチャイナ関西支部のメンバーの男性がこのカラオケの経験者で、「たいしたことはないけど、これらの店では簡単なガチ中華風のつまみを出すので、次回大阪に来たとき、一緒に行ってみましょうか」と誘われた。いったいどんなつまみが出るのだろうか?

このように、大阪ではガチ中華を支える中国籍の人たちの人口が、東京に比べ大きな差があるせいか、彼らの飲食店経営もインバウンドビジネスも含めた多角的な展開を見せている。でもそれだけではない。西成にみられるような、なんと言えばいいのだろうか、こんなディープなガチ中華体験、大阪でしか味わえなさそうだ。

文・写真=中村正人

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