しかし電力の懸念は水不足だけではない。ブルームバーグの調査部門BNEFによると、電力需要の増加に対応するには、中国と米国の2カ国だけでも少なくとも2兆ドル(約311兆円)のインフラ投資が必要になるという。
気候変動の時代を生き抜くために
18~19世紀の産業革命は技術革新や富、生活水準の向上を人類にもたらしたが、同時にそれを支えた住みよい地球環境を破壊することにもつながった。今、人類は経済成長だけを追い求めるのではなく、気候変動への適応力と耐久力の強化を優先すべき時期にきている。では「適応力」とは具体的にどのようなものだろう? 最もシンプルで今すぐできることは、現在使用している主要インフラが適切に機能しているか確認することだ(例えば電力インフラについては、昨年9月の記事で紹介したスタートアップ企業Buzz Solutionの取り組みがその好例といえる)。
次に、これは大がかりになるが、主要インフラを気候変動に対応できるよう再設計することだ。そして最後は、古い住宅や商業ビルの改修を促し、現在よりさらに暑くなる時代に備えることである。具体的には、断熱性の高い建材やパッシブソーラーシステム(太陽光や夜間の冷気を利用した冷暖房システム)の採用による省エネ化、長距離輸送が不要なサプライチェーンの選択による供給リスクの軽減、耐火性や耐風圧性に優れた建材の使用などだ。
EU(欧州連合)の地球観測プログラム「Copernicus(コペルニクス)」によると、2024年の世界の平均気温は産業革命前より1.6℃高く、史上最も暑い年だったという。しかしいずれこの暑かった2024年も、「あの頃はまだ涼しかった」と思う時がくるだろう。
1.5℃以上の温暖化が当たり前の世界では、ロサンゼルスの山火事のような大規模災害は稀な出来事ではなく、毎年起こる可能性がある。気候変動という現実に向き合う時はすでにきている。もしあなたが投資家なら、これからは気候変動のリスクを考慮して投資先を選択すべきだろう。
(forbes.com 原文)