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ビジネス

2025.01.22 14:15

シリコンバレーのデカコーン企業で8年間幹部として働いてきた中で学んだ6つのこと

激動の時代の中、世界は大きく変わろうとしている。日本にとって、この変化を積極的に受け入れ、未来を切り拓く絶好のチャンスが訪れていると感じる。

本連載では、米国で20年以上過ごし、シリコンバレーやウォール街でキャリアを築いてきた筆者が、自らの経験と、周囲で変革を推進するリーダーたちの知見をもとに、「シリコンバレーの今」を紐解く。そして、その学びを日本がどう応用できるかを一緒に考えていきたい。

連載第1回目の今回は、筆者が直近まで8年間、サンフランシスコを拠点とするデカコーン企業(企業評価額が100億ドル以上の未上場企業)で経営に携わりながら学んだ、6つの重要な教訓を共有する。

リップル入社:世界を変えるロケットシップに飛び乗った8年前

2016年12月。当時、トランプ米大統領誕生の衝撃が世界中を駆け巡る中、黎明期にあったブロックチェーン業界のパイオニア企業であるリップルに入社した。決断の鍵となったのは、「世界を変革する壮大なヴィジョン」と「急成長するポテンシャル」だった。

ハーバード・ビジネス・スクール在学中、当時フェイスブック(現メタ)のCOO(最高執行責任者)であったシェリル・サンドバーグの言葉が心に残った。「ロケットシップを見つけて、飛び乗ろう。どこに座るかなんて関係ない」。この言葉が判断の後押しとなった。

リップル社での8年間は、想像をはるかに超える出来事の連続だった。ブロックチェーン業界の急成長を最前線で目の当たりにし、本社の経営幹部として会社の経営に携わり、また業界の発展に貢献できたことは非常に貴重な経験だった。世界のパラダイムを変えようとする企業の「中の人」として直に学んだことを以下共有したい。

その1:THINK BIGの精神 ― 組織全体に染み渡る壮大な思考

リップルはシリコンバレーの著名な連続起業家であるクリス・ラーセンが2012年に立ち上げた会社だ。「価値のインターネット」を実現するという壮大なビジョンを掲げ、インターネットが情報の世界を変革したように、ブロックチェーンが価値の世界を変えることを目指している。

社内では「THINK BIG(大きく考えろ)」の精神が浸透しており、事業戦略を考える際も常に「もっと大きく考えられないか?」とプレッシャーを受ける環境だった。小さな流行には惑わされるべきではないという、いい意味でのプライドがあった。この背景には、GAFAの興隆の最中、小さくエグジットするアプリレイヤーのスタートアップが蔓延している状況に痺れを切らして、「大きなインフラレベルの革新を推進したい」と立ち上がった、シリコンバレーのインターネット第一世代のベテラン起業家や投資家の存在が大きいと思う。彼らは壮大なスケールのイノベーションを実現するために必要とされる思考の大胆さや時間軸をよく分かっていた。
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文 = 吉川絵美

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