その2:カテドラル思考 ― 長期的視点でエコシステムを構築
ブロックチェーンを基盤とした社会インフラを構築することは、まさに中世の建築家が世代を超えて使われる「大聖堂(カテドラル)」を設計するようなものだ。リップルでは、目先の利益だけではなく、長期的な視点でエコシステムを築いていった。例えば、世界の数十の大学における学部の垣根を超えたブロックチェーン研究支援や、ジェンダー格差の解消を目指した人材育成、ブロックチェーンの脱炭素化に向けた業界横断的な取り組みなど、多岐にわたる社会に貢献する活動が行われていた。数万人の従業員を抱える大企業がやるのであれば分かるが、従業員がまだ200人程度の時からこのような取り組みに力を入れてきた。一見、慈善事業かと思えるかもしれないが、実はインフラ構築において欠かせない要素であり、それを積極的に形成していくことも自らの役割であると考えていた。
その3:困難をチャンスに変える胆力と粘り強さ
クリプト業界でビジネスを立ち上げることは、前例の無い挑戦の連続だった。毎日のように大小様々な問題に直面したが、常に「目の前の困難をいかにチャンスに変えられるだろうか?」というマインドセットを持っていた。米国の暗号資産の法規制が不明瞭な中、リップルは米国SECとの訴訟に立ち向かうことを決め、その過程で、それまで分裂していた業界を一致団結させることに成功した。困難な状況に直面した時、それに対応するだけでなく、逆にそれをチャンスに変えてしまうという大胆な発想、そしてそれを粘り強く実行する重要性を学んだ。これは仕事以外でも人生の様々な面で応用できるレッスンとなった。
その4:世界観の発信とコミュニティを巻き込む力
新しい業界やパラダイムを作るためには、まずビジョンを言語化し、それを広く発信して賛同者を集めることが重要だ。技術さえ良ければ自然と誰かが気づいてくれるだろうというのは甘えでしかない。技術開発に全力を尽くすのは当たり前だが、それと並行して重要なのが、その技術が可能とする世界観についてのヴィジョンとストーリーを明確に打ち出し、それに賛同するコミュニティを形成することだ。それが優秀な人材を惹きつけ、技術開発や導入を加速させ、フライホイール効果を生み出すことになる。この自律的で増強的なループをいかにスケールできるかがインフラ志向の企業には鍵となる。
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