物流および製造業向けの3Dシミュレーションソフトを開発する同社のシードラウンドには、台湾の電子メーカーのケンメック・メカニカル・エンジニアリング(広運機械)や自動化ソフトウェアのソロモンテクノロジー、地元のベンチャーキャピタル(VC)のAddin Ventures、SparkLabs Taiwan、Upstream Venturesらが参加した。
エヌビディアが台湾企業に出資するのは、これが初めてだとSparkLabs Taiwanの共同創業者のエドガー・チウはLinkedInの投稿で述べている。
2023年に設立されたMetAIは、AIを活用して自動化された物流センターの2D平面図を、わずか数分で3Dシミュレーションに変換するソフトウェアを開発し、従来は約300時間を要するプロセスを劇的に短縮した。同社が用いるシミュレーション技術は「デジタルツイン」として知られ、物流企業が倉庫や施設の効率性を、仮想空間でテストすることを可能にしている。
MetAIのソフトウェアは、エヌビディアのOmniverse(オムニバース)と呼ばれるデジタルツインプラットフォームで使用できる。同社は、今回調達した資金を研究開発と採用に充て、米国市場に進出して半導体メーカーや自動化倉庫のオペレーター、ロボティクス企業などを顧客にすると述べている。
MetAIの共同創業者でCEOのダニエル・ユウは、「産業用途のAIを大規模に展開しようとする企業にとって、精緻なデジタルツインの開発は困難な課題だった。当社は、物流や製造業を含むさまざまな分野でAIシステムを瞬時に訓練可能にすることで、この分野の企業に前例のない効率とスケーラビリティを提供している」と語った。
MetAIは、同社のデジタルツイン技術が「ラージ・ワールド・モデル(Large World Model、LWM)」と呼ばれるAIモデルの構築に活用できると述べている。このモデルは、ロボットや自動運転車のような自律型の機械や車両を訓練およびテストするために現実世界をシミュレートする。
MetAIと同様なLWMの構築を目指しているスタートアップには、サンフランシスコに拠点を置くWorld Labs(ワールドラボ)が含まれる。元グーグルのAI科学者のフェイフェイ・リーが共同創業した同社は、エヌビディアの投資部門のNVentures(エヌベンチャーズ)などからの出資を受けている。
(forbes.com 原文)