米軍は禁止
DJIのクワッドコプター(回転翼4つのドローン)「Mavic」は、折りたたむとカーゴポケットに収まり、1.5kmかそこら離れた目標に対する空中偵察任務を遂行できるので、軍事ユーザーの間でも急速に利用が広がった。イスラエル軍は2017年、歩兵中隊にMavicsを支給した。だが同じ年に、米陸軍はDJI製品について「サイバー面の脆弱性に対する認識が高まった」として、軍人による使用を禁じた。2018年、米国防総省は同じく「サイバーセキュリティー上の懸念」を理由に、メーカーを問わず、すべての市販ドローンの米軍での使用を禁止した。2020年会計年度の国防権限法(NDAA)では市販ドローンの購入を認める例外規定が設けられたものの、懸念は根強く、ますます強まっている。
DJIは大規模な法務チームを擁しており、持ち上がった法的問題に生ぬるい対応はしない。DJIは2022年、国防総省から「中国の軍事企業」と指定するリストに加えられたが、「中国軍に所有されてもいないし支配されてもいない」と主張して昨年10月、同省を相手取って訴訟を起こした。
とはいえ米上院は納得しておらず、DJIに対して、国家安全保障上のリスクでないことを1年以内に証明するように求めた。これは商務省が規制を提案する前のことだ。
DJI製ドローンは、同社が軍事目的での使用に強く反対しているにもかかわらず、ロシアとウクライナの戦争で広く使用されている。ただし、使用される前に徹底的にハッキングされ、セキュリティー上の問題はつぶされている。これらの点には留意しておく必要があるだろう。