【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

北米

2025.01.13 09:00

米国が中国製ドローンの禁止を検討 「強すぎるDJI」の行方は

中国DJI製の小型ドローン「Mavic 3T」(S.Galindo / Shutterstock.com)

DJIのスケールメリット、技術革新のスピード、高性能な製品を低価格で販売できる能力を前に、米国メーカーは撤退を余儀なくされた。スカイディオとティールはホビー用ドローン市場を去り、価格にそこまで敏感でなく、安全性が重視される政府契約というより安定した市場に退避した。米国の議員らは数年前から、本国と直接通信する中国製ハードウェアへの依存に懸念を示してきた。

米軍は禁止

DJIのクワッドコプター(回転翼4つのドローン)「Mavic」は、折りたたむとカーゴポケットに収まり、1.5kmかそこら離れた目標に対する空中偵察任務を遂行できるので、軍事ユーザーの間でも急速に利用が広がった。イスラエル軍は2017年、歩兵中隊にMavicsを支給した。



だが同じ年に、米陸軍はDJI製品について「サイバー面の脆弱性に対する認識が高まった」として、軍人による使用を禁じた。2018年、米国防総省は同じく「サイバーセキュリティー上の懸念」を理由に、メーカーを問わず、すべての市販ドローンの米軍での使用を禁止した。2020年会計年度の国防権限法(NDAA)では市販ドローンの購入を認める例外規定が設けられたものの、懸念は根強く、ますます強まっている。

DJIは大規模な法務チームを擁しており、持ち上がった法的問題に生ぬるい対応はしない。DJIは2022年、国防総省から「中国の軍事企業」と指定するリストに加えられたが、「中国軍に所有されてもいないし支配されてもいない」と主張して昨年10月、同省を相手取って訴訟を起こした。

とはいえ米上院は納得しておらず、DJIに対して、国家安全保障上のリスクでないことを1年以内に証明するように求めた。これは商務省が規制を提案する前のことだ。

DJI製ドローンは、同社が軍事目的での使用に強く反対しているにもかかわらず、ロシアとウクライナの戦争で広く使用されている。ただし、使用される前に徹底的にハッキングされ、セキュリティー上の問題はつぶされている。これらの点には留意しておく必要があるだろう。

ジオフェンシング機能の操作

中国製ドローンによる脅威はいったいどれくらい深刻なのか。それらが蜂起して攻撃してくるといった事態は起こりそうにないものの、商務省は規則の策定に先だって現実的なリスクについてパブリックコメントを募集している。
次ページ > トランプ新政権は3月にも判断を示す見込みだ

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事