欧州

2025.01.12 11:00

ウクライナ軍、「二連装散弾銃ドローン」でロシアのドローンを狩り始める

Shutterstock.com

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ロシアがウクライナに対して起こして2年11カ月近くたつ全面戦争のおよそ1300kmにおよぶ前線では、小型のドローン(無人機)が四六時中いたるところを飛んでいる。各ドローンは敵の動きを監視したり、目標の座標を味方の砲兵や軍用機に送ったり、あるいは補給物資や地雷、爆弾を投下したりしている。FPV(一人称視点)自爆ドローンの場合、敵の兵士や車両に体当たりする。

ロシアもウクライナも小型ドローンを月にざっと10万機製造していて、それを無力化することは双方にとって喫緊の課題になっている。対策としては、ジャマー(電波妨害装置)を用いてドローンを地上に落とす、車両にスクリーンやネットを装着して、突っ込んでくるドローンを爆発する前に受け止める、地上の兵士が散弾銃でドローンを撃ち落とす、といったものがある。

ウクライナ側はさらに、ロシア軍のドローンをドローンで狙うケースも増えてきている。ウクライナ軍のドローンがロシア軍のドローンに空中で体当たりしたり、上からネットを発射したりしていることが映像で知られている。新たに考案された方式は最も驚くべきものかもしれない。アナリストのアンドルー・パーペチュアの言葉を引用すれば、「ウクライナのドローンは散弾銃を2丁装備している」のだ。
ドローンに銃を取り付けること自体は、しばらく前からロシアの技術者もウクライナの技術者も行ってきた。だが、散弾銃を2丁連装したドローンというのは新しいもののようだ。「ウクライナ防衛者支援財団」というウクライナの団体は、「ウィンチェスター・ドローン」(編集注:ウィンチェスターは米国の銃ブランド)と呼ぶこうしたドローンをウクライナ軍向けに購入するための資金を募っている

この設計は理にかなっている。散弾銃の散弾は、たとえばライフル銃弾のような阻止力(ストッピングパワー)はない。しかし、ドローンは脆く、すばしっこい。散弾銃の弾は広く飛び散るので、命中率は高い。また、ドローンを仕留めるにはほんの数発の散弾でも十分かもしれない。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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