欧州

2024.12.03 09:00

第一次大戦式で「ドローン狩り」のウクライナ練習機、戦闘再開か

2016年5月、ウクライナ北東部ハルキウ市郊外の飛行場上空を飛ぶYak-52練習機(bunbomi / Shutterstock.com)

第一次世界大戦中さながらの方式でドローン(無人機)を撃ち落とすウクライナのプロペラ機が、4カ月ほどのブランクを経て南部オデーサ上空で戦闘を再開したのかもしれない。

1970年代に製造された旧ソ連の遺物で、レシプロエンジン(ピストンエンジン)で推進するヤコブレフYak-52練習機は11月26日、オデーサの空に戻ってきてロシア軍の偵察ドローン狩りにいそしんだと報告されている
重量1000kg超、前部座席にパイロット、後部座席におそらくショットガン(散弾銃)を構えた射手を乗せたYak-52は、オデーサ在勤ウクライナ海軍軍人のアカウント「Катран(カトラン)」によると戦闘中に「燃料1000Lを使い果たし」、途中で着陸して燃料を補給しなくてはならなくなったという。

最高速度285km/hのYak-52は5時間飛行し、ロシア軍のオルラン-10偵察ドローンを少なくとも1機撃墜したとされる。オルランはオデーサ上空を飛行して目標を見つけ出し、その位置情報を砲兵部隊に伝えて長射程ミサイルによる攻撃を導いている。1時間の飛行コストがせいぜい数百ドルのYak-52は、1機10万ドル(約1500万円)程度する偵察ドローンを撃ち落とすのに効率的な手段のひとつだ。

Yak-52がオデーサ上空に最後に見せたのは知られる限り今年7月で、以来、戦闘復帰は公式に確認されていない。もっとも7月以前も、オデーサでのYak-52の大胆不敵なパトロールに関する公式の情報は乏しかった。

5月以降の3カ月で、Yak-52はロシア軍のドローンを少なくとも12機撃墜した。ファンたちは戦闘中や地上のYak-52動画や写真をソーシャルメディアに投稿した。機体の側面には撃墜の戦果を示すマークがだんだん増えていき、“ドローンハンター”しての有効性を物語っていた。

あまりに効果的だったため、同様のやり方で国産のアエロプラクトA-22軽量スポーツ機からもロシア軍のドローンを撃ち落とそうと、ウクライナ国防省情報総局が射手の訓練を始めたほどだった。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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