経営・戦略

2024.12.14 14:15

AIも半導体も後塵拝すインテル 凋落の裏に2000社投資したCVCの存在

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CVCで2000社以上に投資。それでもイノベーションは起きず

競合に遅れをとっているインテルだが、スタートアップ投資を通じてオープンイノベーションを推進することを目的に、1991年にCVC「Intel Capital」を設立している。Intel Capitalは、30年以上にわたりグローバルで2000社以上のスタートアップに投資し、数多くの優秀なスタートアップの育成に寄与した。シリコンバレーのVC界隈でも、Intel Capitalは投資家としての高評価を得ていた。

しかし、このような成功にもかかわらず、結果的に本業である半導体事業において十分なイノベーションを起こすことができなかった。その理由は何なのか?

Intel Capitalは、インテルが長年主力として製造してきたCPUをより多く販売するためのエコシステム構築の一環としての投資戦略を持っていた。より多くの、そしてより高性能のインテル製CPUの需要を増やすため、アプリケーションやサービス領域にまで幅広く投資していたのだ。たとえばデータセンタービジネスにおいて当時急速に拡大しつつあったesports領域の要求に応えられるよう、BoomTVというesportsのエコシステム拡大を志向するスタートアップに投資したのも一つの例だ。たしかにこうした戦略は本業のCPUの販売拡大には寄与したかもしれないが、それはあくまで既存のビジネスの延長上の話であり、自らの成功モデルを否定するような破壊的なイノベーションを志向した投資ではなかった。

AIへの投資や買収ももちろんやってはいたのだが、前者の投資に比べると限定的だった。x86アーキテクチャからエコシステムまで、ビジネスを根底から変革をしていくような影響力はなかった。このような中途半端なやり方では、会社のリソースをAIに全振りしたNVIDIAに勝てるわけもなく、やがてx86の牙城であったサーバー市場までNVIDIAやAMD(米半導体製造企業)に取られていくのを指をくわえて見ているしかない。
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文=村瀬功

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