今回は「宿泊拒否」についてです。
ホテルや旅館は宿泊拒否を簡単に出来るものではありません。
宿泊業は旅館業法によって、宿泊拒否できる事柄が明確に定められているのです。
まず宿泊拒否のお話の前に、私が迷惑に思うお客様を挙げたいと思います。
非常識なお客様
例えば、缶チューハイを片手に持ちチェックインにフロントにやって来ます。その缶を目の前にコンッと置き、机に肘を掛け前のめりに覗き込むようにしてフロントに話しかける方。そういう方に限ってチェックインの説明時に携帯に電話がかかってきて、大きな声で話し始めたかと思うと、とりあえず切ろうとする様子すら見られません。
同じくフロントにやって来た時、ガムをクチャクチャと噛んだまま。耳にはヘッドフォンやインナーイヤーで音楽を聴いていて、話しかけても外す様子はありません。手はポケットに両手を突っ込んだままです。

では、何をもって非常識とするのかという問題になります。「日本の常識は世界の非常識」などと言われますが、そうすると「そもそも人類に普遍的な共通の考えや行動はない」ことになります。また時代によっても常識は変わっていくものです。
例えば満員と言わないまでもそこそこ人が座っている電車があるとします。そこである人がガサガサと紙袋を開けハンバーガーをパクパクと食べ始める……これはおそらくアウトでしょう。多くの人が同じ意見であることを願いますが、「いったいそれの何がいけないの? おかしいと言っていることがおかしいと思う」という人も確実に多数存在するわけで、私の常識とあなたの常識はけっして同じではないでしょう。
ただ、ある程度だいたい、これは許される・許されないという最低限のラインが私たちの生活の中にはあると思っています。
前述のお客様は、ホテル・旅館に「嫌われる・嫌がられる」というより、「警戒」されざるを得ません。それは、自分の行動がもしかしたら相手に不快感を与えるかもしれないと思っていないからです。
ですから他のお客様と接点を持った時に、不快にさせたり怒らせたりする可能性がとても高いのです。例えばちょっとした物音でも隣の部屋の壁を蹴ったり殴ったり、マナーに厳しい他のお客様とエレベーター内でトラブルになったり、ということがあります。