「ブラックリスト」は存在するのか?
ホテル業界では不良客をUG(ユージー)と呼んだりします。Undesirable Guest(アンデサイアブル ゲスト)の略で、望ましくない・好ましくない客という意味です。
UG客というと、クレームをつけるのが趣味、みたいなひねくれた人に出会うことがあります。世の中全てが不満みたいなオーラを纏っています。どこのホテルでもよっぽどでないと宿泊拒否というのはしないと思いますが、迷惑・要注意には違いありません。
それで、よく言われるブラックリストなるものがあるのか? についてですが、ホテル・旅館組合とか協会とか、私が在籍していたホテルの地域組合においては、そういったものはありませんでした。個人や企業名による注意喚起というのはなかったのです。
しかし、現在はパソコンによる予約システムで運営している宿がほとんどですから、その個人情報にメモ書きが可能です。良いことも悪いことも、おぼえ書きとして記録しておくことができます。
これが全国に店舗を持つ大きなグループホテルだと、全店で情報を共有できたりします。いつ、何店に宿泊したという過去の記録を一覧表で出すことも可能ですよ。
ちょっと怖い感じがしますよね? けれども悪い事をしていないのであれば、気にする必要はありません。
厚生労働省は「営業者は、当分の間、旅館業法第5条第1項第1号又は第3号のいずれかに該当することを理由に宿泊を拒んだときは、同各号に掲げる場合ごとに、書面又は電磁的記録に宿泊を拒んだ理由やその日時、拒否された者及びその対応に係る責任者の氏名、同項第3号による宿泊拒否の場合は宿泊を拒むまでの経過の概要等を記載し、当該書面又は電磁的記録を作成した日から3年間保存する必要があります』としています。
つまり2023年新旅館業法の今回、変更、追加された号においては、当面は記録を残しておいてね。そして3年間は取っておいてね。ということです。
個人情報が最低3年間は保存されてしまいますので、嫌な方はくれぐれも宿泊拒否などされないように行動して下さい。
■「ホテル裏話 | なぜ? みんなの疑問を元ホテルマンが暴露◎ 元ホテル勤務の筆者がホテル経営の裏側を綴るブログ。ホテルにまつわるあらゆる雑学やエピソード、宿泊者が不思議に思うホテルの「なぜ?」にも答える。
(※本記事は筆者個人の勤務経験・体験にもとづくものであり、すべてのホテルに関する知見を網羅するものではない)


