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2025.02.07 15:15

元ホテルマンが回顧する迷惑ゲスト。宿泊拒否客はブラックリストに?

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「精神面で問題を抱えている」可能性のあるお客様


それから、ちょっと見では分からない場合が多いですが、例えば「盗聴されている」とか「誰かに尾行されてるみたいなので、私を訪ねて来る者がいても絶対に教えないで欲しい」とか。実際に借金取りや警察から逃げているお客様もいたりしますから、それはそれで問題なのですが、これに加えて「誰かが自分の部屋に電磁波で攻撃している。何とかしてくれ!」とか言って来たら確定です。
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電磁波過敏症の存在について語りたいわけではなく、あきらかに言動が不自然なお客様のことを言っています。

このような精神を患っていると思われるお客様は「そんなことはないですよ」と納得させようとしても絶対に無理です。ご本人は至って大真面目なわけですからとても困ったお客様です。

泥酔しているお客様


ほとほと困ります。対応しようにもらちが明きません。何を言っても声は届かないし、冷静な判断力なんて皆無ですから。個人的には一番厄介に感じます。なぜならどんなに高い接客スキルを使っても説得出来ないからです。

フロントの経験や能力によっては、クレーマーもうまく収めることができることもありますが、酔っ払いには通用しません。
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おまけに、「嘔吐」する確率も大です。

嫌な客を宿側は宿泊拒否できるか?


宿泊業として、泊まってほしくないお客様は正直います。しかし、ホテルや旅館は、わがままな客だから、嫌な客だからという理由で好き勝手に宿泊を断ったり、追い出したりしてよいのでしょうか? 過去にトラブルのあった客を予約拒否・受け入れ拒否、または出入り禁止にしてよいのでしょうか?

やはり、それには相応の理由が必要です。

宿泊業の法律である「旅館業法」を見てみましょう。

旅館業法第五条 第一項 営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。

一 宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき。

二 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき。

三 宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき。

四 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

(改正旅館業法 令和5年12月13日施行)

ちなみに、2023年12月13日改正旅館業法が施行されました。第5条の宿泊拒否に対する追加・変更点はなんなのでしょうか。

変更点:第1号の「宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき」が、「宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき」に改められました。

新型コロナは5類になりましたので拒否にはあたりません。

追加点:第3号の「宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき」がまるまる追加されました。

2023年(令和5年)の旅館業法改正では、カスタマーハラスメント(カスハラ)やクレーマーに対して宿泊拒否がしやすくなったと言えます。

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