現実世界への影響
ディープフェイク詐欺の被害は甚大だ。フォーブスが以前報じたある有名なケースでは、サイバー犯罪者らが複製した声を使ってある最高経営責任者(CEO)になりすまし、従業員に24万3000ドル(約3600万円)を偽の口座に振り込ませた。同様の手口はロマンス詐欺や偽の就職面接、さらには地政学的な要素を持つ偽情報作戦でも使われている。リーダーらにとって、こうした状況で最も心配されるのは信頼と信用だ。ビジネスでは、メッセージ(およびメッセンジャー)を信頼する能力は共同作業する上で欠かせない。もっともらしさが増しているディープフェイクによって詐欺が増加するにつれ、最も影響を受けるのは信頼性だ。報告書によると、検知率がトップクラスのディープフェイク検知ツールが75%の確率でしか偽物であることを検知できない場合、詐欺に対して用心深くなることが不可欠だ。
Deepware(ディープウェア)は、ディープフェイクを識別するための無料のウェブサイトだ。別のツールのDeepfake Detector(ディープフェイク・ディテクター)は検出率92%とうたっており、月額16.8ドル(約2500円)で利用できる。ディープフェイクを検出する他のオンラインツールにはPindrop Pulse(ピンドロップ・パルス)やAttestiv(アテスティブ)などがある。
疑うことが最善策
ディープフェイクは未来の脅威ではなく今すでに存在し、実害をもたらしている。被害額は今後3年間で400億ドルに上ると予測されており、消費者や企業、政府は警戒し続ける必要がある。リスクを理解し、事前に対策を講じることで、AIという「すばらしい新世界」を取り巻く危険を最小限に抑えることができる。メッセージは明確で、「信ぜよ、されど検証せよ」だ。見聞するものをもはや信じることができない時代において、疑うことはディープフェイク詐欺を防ぐ最善の策だ。
(forbes.com 原文)