高まるインドワインへの注目
一方、自国のワインも徐々に存在感を高めている。国内ワインマーケットの5割以上を占める国内最大のワイナリーが、太陽のロゴで有名なスーラ・ヴィンヤード。スタンダードラベルのほかにも、プレミアムブランド「ザ・ソース」「ラサ」などプレミアムコレクションも展開している。グルナッシュ100%のザ・ソースのロゼは、柑橘風味とドライな後口が心地よいプロヴァンス・スタイルで、熱帯インドの気候に涼風を吹き込んでくれた。カベルネ・ソーヴィニヨンは、杉のような品種香もしっかり出ており、タンニンが柔らかく酸味も穏やかでいい意味で飲みやすい。ポルトガル料理とインド西海岸・ゴア地方の料理を融合させた「O Pedro(オー・ペドロ)」のスパイシーなお料理と非常に良く合った。


一方で、ムンバイの美食シーンをけん引する「Masque(マスク)」のシェフ、ヴァルン・トトラーニ氏によると、レストランでワインを提供するには様々な課題もある。輸入の関係上欲しいお酒が手に入らないこともあり、またインドワインに誰もが興味を持っているわけでもない。
実際、レストランでも、インドワインに興味を持つのは観光客の割合が多く、地元客は輸入ワインを好む傾向があるという。「その現状を変えていきたい」と、マスクでは、インドの食材にフォーカスしたテイスティングコースに合わせて、インドワインのみのペアリングも提供している。その驚くべき食体験は、次編で紹介したい。