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食&酒

2024.12.13 16:15

「酒は罪」は昔話? インドに飲酒人気到来、『フィナンシャル・タイムズ』にも

2023年には「Forbes India 30 UNDER 30(世界を変える30歳未満30人)」にも選ばれた女性シェフ、ニヤッティ・ラオ氏が率いるEKKA(エカー)では、アーユルヴェーダを取り入れたカクテルなど独創的なカクテルを提供している。食事前に通されたバーカウンターの棚には、ハーブや植物の根をスピリッツに漬け込んだ小瓶が並び、まるで東洋の薬屋のよう。「The Knowledge of Life」と題されたメニューには、見知らぬ食材を使ったカクテルやモクテル(ノンアルコールカクテル)がずらりと並んでいた。例えば、ヒマラヤ地方で発見された「カプール・カチリ」は、香りの強い生姜の現地名。「マンゴーと生姜を混ぜたような」独特な香りがあり、肌や髪によいためアーユルヴェーダにもよく用いられるという。スパイスやハーブの効いた多層的な味わいのカクテルは、お酒を飲みながらも健康的になれる気がするから不思議だ。
 
 


このようにユニークなシグネチャー・カクテルが各店にあるので、バー巡りに飽きることがない。インド独自の原料に加えて、インド産ウィスキーやラム、ジン、テキーラ等もあるため、インドならではのユニークな原酒も手に入る。この無限のミクソロジーの可能性が、インドのカクテル文化を支えているのだろう。

富裕層には輸入ワインが人気


これだけカクテルが楽しいと、気になるのがワイン事情だ。2016年にはインド初のマスター・オブ・ワインが誕生し、インドにソムリエ協会も設立されたのも記憶に新しい。ワインの消費は、ビール、スピリッツ、ウィスキー、RTDに続き4位だが、ユーロモニターの調べによるとワイン消費量は2020年の2920万リットルから2025年までに5550万リットルに増える見込みだという。中間層の拡大や消費行動の多様化が進むムンバイやデリー、バンガロールなど都市部では、ワインは「富の象徴」として市民権を獲得しつつある。
 巨大な洗濯場と高層ビルのコントラストがムンバイを象徴するようだ

巨大な洗濯場と高層ビルのコントラストがムンバイを象徴するようだ

ネックとなるのがワインの価格だ。

実はインドは輸入ワインの基本関税が150%と、べらぼうに高い(オーストラリアのように貿易協定を結び、15ドル以上のワインは75%に引き下げられた国もある)。その上、高級レストランではメニュー価格にVAT(付加価値税)20%※(※州やレストランの業態によって異なる)とサービス税も課税される。例えば、とある5つ星ホテルでは、日本でボトル千円前後で買えるジェイコブス・クリークのシャルドネがグラスで約2000円(税込・サービス料抜)だった。

そのため国内のワイン販売で輸入ワインが占める割合は3割に留まるが、インドの富裕層は輸入ワインを好む傾向にある。海外でワインを購入し自宅で楽しんだりワイン会を開いたりする富裕層も多く、なかには数千本のワインを保有するコレクターもいるという。
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文=水上彩 編集=石井節子

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