2. 「状況から得られる手がかり」を書き換える
あなたの最悪の習慣はなんだろうか。そして、それがどう始まったかを思い出してみよう。こうすることで、悪習はしばしば、関連づけと反復の産物であることに気づくだろう。2010年に学術誌のHealth Psychologyに掲載された論文も、これを裏づけている。著者たちは、例を挙げながらこう説明している。「ある人が最初、紅茶を飲む時にクッキーを食べようと決めたのは、アクティブな目標状態(例えば空腹感)に導かれての決断だったかもしれない。しかし時が経ち、紅茶を飲むときにクッキーを食べることを繰り返すうちに、最初の目標の必要性は薄れ、紅茶を飲むという行動と一体化して、その手がかりだけで発動するようになる」
時が経つにつれ(つまり、「紅茶とクッキー」を何回も繰り返すにつれ)、「紅茶とクッキー」は徐々に、「手がかり刺激としての性質を自動的に帯びる」と、著者らは説明する。論文は、「この人はいずれ、クッキーを食べることを『悪い習慣』、あるいは『やめられないこと』と考えるようになるかもしれない」と結論づけている。こうした理由から、「状況から得られる手がかり」を書き換えることは、習慣を再形成するもう1つの必須要素であると、ウッドは考えている。
仮に、職場から車で帰宅する途中に、ファストフードのドライブスルーに寄る習慣があるとしよう。すでにルーティンになっていて、とくに空腹でなくても、マクドナルドやTaco Bell(タコベル)の看板を見たとたん、買って帰らなければという焦燥に駆られる。やがてあなたは、帰路のドライブスルーを1日の終わりのご褒美とみなすようになる。ここまでくると、いくら健康的な選択ではないと知っていても、誘惑に抗うのは難しい。
この結びつきを断ち切るには、帰路のルートを変えてしまうのがいいだろう。可能なら、ファストフード看板による誘惑がない、別の道を通って帰宅しよう。こうすることで、以前は渇望のトリガーとなっていた視覚的な手がかりを目に入れなくてすむ。この変化は時とともに、「帰宅とファストフード」というかつての結びつきを弱めるだろう。