一方、ハーバード大学のローレンス・トライブ憲法学教授、ミネソタ州立大学ロースクールのリチャード・ペインター法学教授、ブルッキングス研究所のフェロー、ノーマン・アイゼンをはじめとするその他の人々は米紙ワシントン・ポストに対し、次のような考えを示している。
「憲法は、大統領が自らの弾劾や罷免を妨げるために恩赦権限を行使することを、明確に禁じている。大統領が自らに恩赦を与えられるのであれば、この規定は意味を持たない」
いずれにしても、トランプが自らに恩赦を与える必要に迫られることはないとみられている。それは、司法省は長年、現職の大統領を起訴しない方針をとっているためであり、憲法が大統領に恩赦の権限を認めているのは、連邦犯罪で有罪判決を受けた者であるためだ。
つまり、ニューヨーク州で詐欺罪、ジョージア州フルトン郡で選挙の投票干渉罪に問われたトランプは、有罪となっても、自らに恩赦を与えることはできない。
議論を呼んだ過去の恩赦
政権の1期目にトランプが行った恩赦は、特に多くの議論を引き起こした。2016年の選挙で自陣営の選対本部長だったポール・マナフォートや、首席戦略官だったスティーブ・バノン、外交顧問だったジョージ・パパドプロス、大統領補佐官(国家安全保障担当)だったマイケル・フリン、長年の盟友であるロジャー・ストーンなど、対象とした受刑者の多くが、個人的な関わりを持つ者だったためだ。また、トランプは任期中に143人に恩赦を与え、94人の減刑を行ったが、ピュー研究所の調査によると、歴代の大統領の中で恩赦を与えた人数がトランプより少なかったのは、ジョージ・W・ブッシュとジョージ・H・W・ブッシュの2人しかいない。
(forbes.com 原文)