一方、トランプ政権1期目(2017~2021年)に手にする人が多かったマーガレット・アトウッドの『侍女の物語』や、ジョージ・オーウェルの『1984年』など、いわゆるディストピア小説にも再び関心が集まり、売り上げが急増している。
注目を浴びる「回想録」
10月8日に発売され、トランプ一家の内情を詳細に明かしたメラニア夫人の回顧録『Melania』は、ニューヨーク・タイムズ紙のノンフィクション(eブックと紙版の合計)部門で現在、首位となっている。また、同書は米国最大規模の書店チェーン、バーンズ・アンド・ノーブルのランキングでも一時トップに躍り出ていた。そのほか、消費者行動に関する調査を行うCircana(サカーナ)によると、2018年に出版されたヴァンスの回想録は、トランプから副大統領候補に指名された週、前週から1万3000%以上急増した。
ニューヨーク・タイムズ紙のランキングでは、それ以降もノンフィクション(ペーパーバック部門)で上位に入っており、大統領選の投票日前には、アマゾンのランキングでも再び順位を上げていた。
トランプの勝利と『侍女の物語』の関連性
トランプ政権の1期目で政治的シンボルとなっていた1985年発表のアトウッドの『侍女の物語』は、全体主義の政治体制のもとで奴隷として残忍な扱いを受ける女性たちを描いたフィクションだ。CNNによると、今回の選挙の投票日の後、アマゾンでの売り上げはそれ以前と比べて6800%以上増加した。ランキングは209位から2位に急上昇した。同書で描かれた抑圧というテーマは、トランプが2016年の大統領選で民主党の候補だったヒラリー・クリントンを破り、予想外の勝利を収めると即座にその関連性への関心が高まった。