北米

2024.11.13 12:30

トランプ長男は「反ESG」投資会社に参加、 第二次政権に入らず

トランプ次期米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア(Anna Moneymaker/Getty Images)

トランプ次期米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニアは、父親の2期目となる政権でホワイトハウスの役職に就かず、保守的な企業への投資に特化したベンチャーキャピタル(VC)に参加する予定だとニューヨーク・タイムズ(NYT)紙とブルームバーグが報じた。

このニュースを最初に報じたNYTによれば、トランプ・ジュニアは「1789キャピタル」と呼ばれるVCに参加する予定だと、11月10日のカンファレンスで大口の献金者らに明かしたという。このカンファレンスは、次期トランプ政権の副大統領に就任予定のJ・D・ヴァンスが共同設立した保守派の政治団体ロックブリッジ・ネットワークが主催していた。

1789キャピタルは、公式サイトで同社のスタンスがESG投資(環境や社会、企業統治を重視する投資)に反対する立場だと説明している。ESGのムーブメントは近年、Woke(ウォーク)と呼ばれる社会的正義を重視するエリート主義に傾き過ぎていると保守派から批判されている。

1789キャピタルは、その代わりに、Entrepreneurship(起業家精神)とInnovation(イノベーション)、Growth(成長)の3つの頭文字をとった「EIG」と呼ばれるスタンスを打ち出して、「脱グローバル化」や「過度の官僚主義に縛られた産業を変革するテクノロジー」に投資を行うと述べている。

このVCの共同創業者でプレジデントを務めるの投資銀行家のオミード・マリクは、トランプの再選キャンペーンや共和党候補への政治献金を行っている。

1789キャピタルは昨年10月、元FOXニュースの司会者タッカー・カールソの新たなメディア会社への1500万ドル(約23億円)のシードラウンドを主導した。その際にマリクは、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)の取材に、「私たちは伝統的な投資家がウォークの方向に傾く中で、残された機会を活用することを目指している」と語っていた。

1789キャピタルのもう1人の共同創業者でCIO(最高投資責任者)を務めるクリストファー・バスカークは、WSJに対して、このファンドが「新たな時代のFOXニュースのような存在」を生み出すことを目指していると述べている。

1789キャピタルの1億5000万ドル(約230億円)の「EIGファンド」を支援する主要な投資家には、元共和党上院議員候補のブレーク・マスターズと共和党の大口献金者のリベカ・マーサーらが名を連ねている。マスターズは、同社のウェブサイトに、諮問委員会のメンバーとしても掲載されている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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