ネットフリックスは、その強力なコンテンツ群と最近追加された広告付きプランによる新しい収入源によって、解約を増やすことなく巧みに収益を増やしてきたが、競争は激化している。例えば、月額15ドルという価格でDisney+(ディズニープラス)、Hulu、ESPN+を提供するディズニーのストリーミング事業は強力な価値を提供しており、今後同社も会員数を増やす可能性は大いにあるだろう。
確かに、多くのユーザーが複数のサービスに加入しており、ストリーミング市場はゼロサムゲームではない。しかし、厳しい経済見通しや個人消費の低迷に加え、競争が激化する環境は、ネットフリックスによる値上げの余地を狭めている。ネットフリックスは2022年1月の値上げ以来、スタンダードプランの値上げを避けており、現在のところ値上げには比較的消極的な姿勢が示唆される。
会員数の伸びが鈍化し、ARPUの上昇も限定的となる可能性を考えると、ネットフリックスの収益の伸びは今後大幅に鈍化する可能性がある。2024年には390億ドル(約5兆9448億円)に達すると考えられている収益は、今後3年間においては平均5%程度の成長しか見込めず、2027年の収益は450億ドル(約6兆8594億円)程度に留まるというシナリオも考えられるだろう。
利益率が悪化する可能性
ネットフリックスの純利益率は、2019年の約9%から2023年には約16%に拡大し、今年の利益率は約22%と予想されている。しかし、コストは今後数年で上昇する可能性がある。ネットフリックスは現在、人気スポーツのライブコンテンツの数を増やしている。今年のクリスマスには米国のアメリカンフットボールリーグであるNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の試合を放送する予定のほか、2025年1月にはWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)のプロレス中継の配信を開始する予定だ。スポーツ放映権には多額の費用がかかることが多く、ネットフリックスが利幅を圧迫することなく、これらの費用を吸収するためにコスト構造を最適化するには時間がかかる可能性がある。