欧州

2024.10.30 09:30

ウクライナ、クロアチアから戦闘車両60両取得へ 新旅団向け装備の確保に奔走

とはいえ、ウクライナ軍の戦闘車両は外国から供与されたものが多くを占めるのが実情だ。ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから2年8カ月あまりの間に、支援諸国はウクライナに戦車900両強、歩兵戦闘車1400両強の供与を表明している

一方で、ウクライナ軍はこれまでの戦いで、供与表明数と同じくらいの数の戦車と歩兵戦闘車を失っている。そのため、ウクライナ軍は陸軍、海兵隊、空中強襲軍に計100個ほどある既存の地上戦闘旅団に配備する戦闘車両はどうにか確保できても、新たな旅団に戦闘車両を用意するのに苦慮している。

新たな旅団を編成しないというのは現実的な選択肢でない。ウクライナ軍の既存旅団の多くは、2022年2月にロシアの全面侵攻が始まって以来、ほぼノンストップで戦い続けてきた結果、疲弊しており、この疲弊は深刻な結果につながりかねないからだ。

第72独立機械化旅団がその一例だ。この旅団はウクライナ東部ドネツク州南西部の要塞都市ブフレダルで2年にわたり、大きな増援も得ずに持ちこたえていたが、兵力にまさるロシア軍部隊の執拗な攻撃によってついに崩れ、10月1日に撤退した。この撤退は、ドネツク州南西部でウクライナ軍陣地のより広範な崩壊を招いた。

ウクライナ軍の指揮官たちは、前線の疲弊した旅団をローテーションで入れ替えることに懸命に取り組んでいる。同時に、後任の旅団に十分な数の装甲車両を配備し、ロシア軍のたんなる大砲の餌食にされないようにする必要にも迫られている。

遅れて到着したドイツ製のレオパルト1A5戦車レオパルト2A4戦車や、米国やフランス、オーストラリアから新たに供与される車両は役に立つだろう。これらの車両やクロアチアから供与されるM-84とM-80によって、ウクライナ軍は新編14個旅団のうち少なくとも9個旅団を徐々に機械化しけそうだ。

ただ、言うまでもなく時間が問題になる。ウクライナ軍の疲弊が進んでいるのに乗じてロシア軍は攻撃を強化しており、およそ1000kmにおよぶ前線のいくつかの重要な正面で前進している。第156機械化旅団をはじめ、装備が整いつつある旅団も前線への投入は遅れている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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