ゼブラ企業やインパクトスタートアップ協会もあり、半年から1年のスパンで政策が変わっていくようにすごく早くサイクルが回ってきています。そこをしっかりハックしていくことができれば、市場拡大して資金調達していく流れがもっとできるなと考えています。
それまでがすごく大変だとは思いますね。市場がちゃんと大きくなるまでのお金をどうやって流していくのかは鶏と卵だと思いますが、そこと闘いながら進めています。もっとこの領域に入ってきてもらえたら嬉しいです。
藤田:自分たちが関わることによって市場を広げていけそうなところにチャレンジしている社会起業家に、投資をしているんでしょうか。
原田:私たちはインパクト投資VCを謳っていますが、しっかりと償還期間は他のVCと一緒に財務リターンを出していけそうな起業家、かつその社会課題解決を真の目的としてやっているか、実際に解決できてるかどうかを見ています。あとは、この人たちに投資をして、この人たちが潰れても一緒に死んでもいいやと思えるような起業家であるかなど、思いの部分も含めて投資判断をしています。
山田:ルールメイクをしている時間はお金にならない。でも、そのルールメイクをしている人たちは、資本主義の市場がないところにいる人だからお金がないという逆パラメータになっていて、しんどいと思いますね。
原田:そうですよね。お金のために人が動くし、人が動いたらその先にお金があるような状況になっています。だから何が大事なのかを見失ってしまう。インパクト評価もあくまで評価で、その数値で捉えきれないものはすごく多くあると思っています。
例えば、貧困の度合いって数字で測れないですよね。
山田:相対性もありますしね。
原田:そうなってくると、極度の貧困層とどちらかというと解決しやすい貧困層でインパクト評価した場合に、解決数自体で言えば、貧困の度合いが少ない方が数としては多くなる。でも労力がかかるのは、極度の貧困層の方なんです。だから難しいなと思っています。インパクト評価も、本当に社会課題を解決できてるのかを判断するのは課題当事者で、それに寄り添っている起業家である。そこをちゃんと信じて、寄り添っていくことが大事なんだろうなと思ったりしますね。
言葉や数字に騙されず、盲目的にならず、と思っています。
僕ら自身もインパクトという言葉に盲目的になってはいけないし、それを使う人たちも盲目的になってはいけない。手段や解決策と目的、それぞれ盲目的になってはいけないなと思ったりもしています。
顕在化する社会課題を解決し続ける仕組みを作るためには、すでにある市場でいかに事業を作るかだけではなく、市場を作るところから取り組む必要がある。ファンドの運営において、財務的なリターンは重要な観点であることに違いない。一方で、社会課題の解決を考えれば、投資のあり方を再考し、より柔軟なスタートアップ支援を探求する必要があるのだろう。
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