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2024.10.11 17:45

DxP今井紀明と考える、持続可能な「若者支援」 寄付型NPOのこれから

今回の「セトフラ」ゲストは、D×P理事長の今井紀明さん


山田:3000人を超える寄付者や企業の寄付で集まった金額で、今やりたいことはできているんでしょうか?
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今井:全然まだまだかなと思っています。月額寄付のサポーターさん3280人で1.1億円くらいの金額です。何か別の課題に注目して動いていくことに使ったり、支援を拡大することを見据えてもう少し増やしていきたいと思っています。

山田:助成金も含めて、企業からのワンショットの大きい金額の寄付よりも、長期的な寄付の方が柔軟に対応できるんですか?

今井:そうですね、やっぱりワンショットの法人寄付は続かないこともあるので。企業にもなるべく月額で参加していただいて、無理のない範囲で支援していただくことが重要だと考えています。それができればリスクを取って別の事業ができたり、支援を広げたりできる。できれば月額寄付が予算全体の7割ぐらいのシェアになるようにしたいなと思っています。
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山田:月額寄付だと寄付者との関係性が深くなると思いますが、こんな人には入ってほしくないなと思うことはありませんか?

今井:意見をいただいたり、経営的に口を出されたりすることがそこまで嫌いなことではないですね。大口の寄付者の場合も、僕からも意見を言っています。確かに意見の食い違いで話し合う時はあるけれど、やっぱり僕らとして何のために戦略を組んでやっているかを話している。

話を聞いて、別の団体をすすめる場合もあるし、辞められる方もいらっしゃるけど、人間としての付き合いは止めるわけじゃありません。その結果として、戻ってきてくださる方もいらっしゃいます。

月額寄付のサポーターさんがいるからこそ、ある種独立性を持ってやれていると思います。国境なき医師団とかを理想として思っているところはありますね。



藤田:D×Pくらい寄付者を分散できている方が珍しいんですか?

今井:そもそも日本には寄付型NPO自体が少ないんです。NPOは5万法人あって、8割くらいがボランティア型。あと2割がほとんど株式会社と同じで、例えば福祉や障害の事業を制度的なビジネスとしてやっているところが大半です。寄付型でやっているところでいえば、数百団体くらいしかありません。うちはすごく珍しいです。

この方法をできればもっと色んなところに応用していった方がいいとも思っています。例えば学校法人や医療法人。NPOのファンドレイジングや寄付など、いろんな方々に参加してもらう仕組みは様々なところで使えると思います。

また、ブラセト(瀬戸内エリア最大級のスタートアップカンファレンス)のようなイベントに、もっと非営利組織が参加した方がいいなと思います。自分の組織でもNPO支援の分野で何かできないかを今模索しているんです。今でもオンラインのセミナーでNPOの経営ノウハウを無償で公開していて、この間は200人以上の方が参加してくださいました。

山田:持続可能にするという意味で、お金をもらったりとかはしないんですか?無償で教えるのはいいと思う一方で、今井さんの工数がかかり続けるモデルになるので、アクセラや学校のような仕組みがあっても良いのかなと思っています。

今井:そういう枠組み自体は何かしら作っていきたいです。

冒頭にも話しましたが、うちのNPOだけが事業や組織として成長したところで、日本の未来に何も意味がないんじゃないかと思っています。意味がないわけではないけれど、効果が弱くなってしまう。いろんなNPOができていくことで、支援の多様性やセーフティーネットが広がるイメージがあるので、僕らだけが成長すべきじゃないんです。

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文=西澤七海 編集=督あかり 写真=8bitNews

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