相談窓口へ繋ぐユースセンターの存在 新しいモデルの確立
藤田:ユキサキチャットなどの活動をされてきた中で、今必要だと思ったのが「ユースセンター」だったんですよね?今井:これまで親に頼れず孤立する若者や、経済的に困窮する若者とたくさん出会ってきました。そのなかで繁華街に集まる若者を知る機会があり、最初は大阪のグリ下(ミナミのシンボル「道頓堀グリコサイン」の下)近くにテントを出したんです。週1回テントでお菓子や飲み物を配ったりと関わり出し、6カ月間で700人くらい来ました。
ユースセンターができたことで、食事を取れていない子がご飯を食べられたり、ゆっくりしたり、仮眠をとったりと安全に過ごせる場ができてきています。相談窓口ではないけど、結果的に相談に繋げられるようになっています。例えば妊娠している子と一緒に産婦人科にいくことも。
ユキサキチャットでは相談の繋がらない子たちが、リアルの繁華街とかにきています。普段は雑談をしているだけでも、結果的に医療や福祉、住居の相談とかにも繋がってくみたいな。
ユースセンターを作る時、賭けみたいな部分はあったかなと思っています。テントで仲良くなった子達だったから、グリ下以外の場所にきてくれるかどうかはわからなかった。
経営的な面で言っても、年間予算で言うと6000万円から7000万円くらいかかるというリスキーな話だったんですよね。
でもやって良かったです。自分もたまに行かせてもらって関わったり、報告を聞いた時に、こういう場所を作っていいモデルになってきていると思えていますね。
山田:NPOやってる人に対して、聖人君子のようなすごく社会課題に思いがあって真摯に向き合うようなイメージがありました。今井さんと会ったときも、そういう人だと思った。
だけど、どこかすごい人がやるものだと勝手に線引きをしていたけれど、明日僕らがNPOをやることもあるし、明日から寄付をやることも当たり前にあるんだと思えたのが良かったですね。
月額寄付による安定した収入基盤作りや、解決したい課題に対してのリスクをとった新規事業への挑戦。それだけではない、NPO全体の成長を見据えるような業界全体の発展を視野に入れることで広がっていく社会的インパクト。今井が語るNPO運営からは、ビジネスに通じるものがあるのではないだろうか。
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