しかし実は、稲作が地球温暖化に大きく影響していることをご存じだろうか。
水田に泡がぶくぶく出ている様子を目にしたことがあるかもしれない。泡の正体は「メタンガス」の可能性が高い(昨今、「中干し」を通じてメタン生成菌の活動を抑える努力なども始まっている、後述)。
農林水産省「農業分野のカーボン・クレジットの取組推進に係る 最終調査結果」(2024年4月)によると、日本の温室効果ガス(Greenhouse Gas=GHG)の総排出量は約11億7000万トン。うち、農林水産分野の排出量は4949万トンで4.2%、そのうちの実に4分の1が「稲作」由来という。
メタンガス、「牛のゲップ」より「稲作」で発生する
温室効果ガスには水蒸気、二酸化炭素、メタン、フロン類などがあるが、このうち、温室効果ガスの中でCO2に次ぐ16%を占めているメタンについて、農業分野の排出量2218万トンのうち稲作は44%(農業全体は81%)を占める。しばしば話題になる「牛などのゲップ」から出るメタンは28%で、稲作がダントツに多いのである。
なかでも「水稲栽培」でメタンは発生しやすい。水田では水が張ってあるため、土壌中の酸素が少ないが、水田の土壌には酸素が少ない条件でメタンを作ることのできる「メタン生成菌」が棲んでいる。つまり、畑よりもメタンを生成する菌が活発化しやすいのだ。そして、土壌の中で作られたメタンは水稲の茎や根にある、空気を通すための空隙を通って、大気中に放出される(独立行政法人農業環境技術研究所による)。