経済・社会

2024.09.28 17:15

領空侵犯したロシア軍機 スカスカの北方領土と募る日本への疑心暗鬼

IL38(iv-serg / Getty Images)

緊張しているのは日ロ関係だけではない。防衛省によれば、中国軍のY9情報収集機が、8月26日に約2分間、長崎県の男女群島沖の領海上空を侵犯した。中国軍の情報収集機がこの空域に飛来するのは初めてだという。自衛隊幹部の一人は、空自築城基地(福岡県)や空自新田原基地(宮崎県)などの情報を取りに来た可能性があるとの見方を示した。3回も繰り返して領空侵犯したロシア軍哨戒機ほどではないにせよ、日中関係の緊張を背景に、やはりリスクを冒してでも、日本の情報を取ろうとする姿勢が読み取れる。
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一方、海自の護衛艦「すずつき」が7月4日、中国・浙江省沿岸の中国領海を約20分間にわたり航行した。木原稔防衛相は9月24日の会見で「7月に(すずつきの艦長が)交代したのは事実だ」と述べた。松村氏は「当時、あの海域では中国海軍の演習が行われていた。すずつきは演習を監視し、情報収集していたとみられる」と語る。すずつきがどのような事情で中国領海に入ったのか明らかではないが、日中関係が緊張すれば、こうした事態はこれからも起きる可能性がある。25日には海自護衛艦が初めて台湾海峡を通過した。

松村氏は「今必要なことは、緊張を緩和するための冷静な措置だ。自分の身に危険が及ぶ状況になれば、世論の反応はどうしても感情的になり、政治家もその声に応えなければならなくなる」と指摘する。自民党総裁選では、領空侵犯への対応措置も話題に上った。松村氏は「今こそ、政治家は威勢の良い感情的な表現を控え、合理的で具体的な対応策を国民に示して、今後、真に国民を守っていける地道な日本防衛のあり方について議論を尽くすべき時だと思う」と語った。

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文=牧野愛博

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