そこで「SIGHT WALKS」プロジェクトを発足。銀行や食料品店などが”そこにあること”が分かる、新たなブロックの開発を目指した。
具体的には、まず横のラインを開発し、そこが目的地の前であることを示した。さらに、上下2本の横のラインの間に縦のラインを設置、その本数によって、施設の種類を示すこととした。1本であれば、レストラン、2本は銀行、3本は食料品店で、例えば6本は病院といった具合に。「SITHT WALKS」は、SIDEWALK(歩道)という言葉にかけられていて、あえて訳せば“視界となる歩道”といった意味合いだろう。
開発には、2年の歳月がかけられた。視覚障害者団体の協力もあおぎ、視覚障害者の意見も参考にしたという。
この新しいブロックは首都リマの中心地に設置され、使い方の講習会や点字パンフレット、オーディオによる研修なども用意。結果、50万人以上の人がこのプロジェクトの恩恵を受けた試算となった。
セメントSolのようなBtoB企業が、あえて社会課題解決に挑むのは何のためだろう?
日本の現状に鑑みると、具体的には、以下の3つのポイントが考えられる。第一にリクルート対策だ。優秀な人材が集まりやすくなる。第二に、社員のモチベーションアップ。そして第三には、新規顧客のドアオープナーの話題として、である。企業やブランドがカンヌライオンズで賞を獲ったことだけでなく、社会課題解決に乗り出していることも、現代企業にとっての実質的な価値に結びつくのだ。
「視覚障害の街での生活を、もっと自由に自律的に」という社会課題は、当然日本にも存在している。その社会課題の解決を、自社の事業である”セメント”に最も近いところで実施してみせた。
日本には、企業やブランドが挑むことのできる社会課題が幾らでも存在する。ご自身が関係する業種や業界が貢献できそうな社会課題に着眼して、新たな事例創出に挑んでみてはいかがだろうか。