ほかには、ブランドアパレル。ある人気ブランドを作っているデザイナーがいて、ファンがいる。仮にAIの方が良いデザインを作れたとしても、「そのデザイナー」が生んだデザインであること、そのカリスマ性自体に意味や価値や資産は存在しますよね。
一言でいえば、「人間の価値観」というある種特別の領域がある。「人がやっている」ことに価値があるような分野は、なくならないと思います。
山根有紀也(アートコレクティブ「実験東京」):「それ自体が長期的な喜びになる活動」は人間に残り続けるだろうと思います。
「それをすること自体が楽しい」とか、「それを見ること自体が心地よい」とか。走ることとか、さっきの将棋もそうですね。人間に「しか」できないことかどうかはあまり問題ではない。
たとえまったくAIに勝てなくても、将棋が上達すること自体が楽しい。そういう、「うまくなる過程が長期的な喜びにつながる」活動は、人間がやり続けると思います。
私は、AIにできることがますます増えて、 人間でなければできないことが減っていく将来、膨大な「暇」との戦いの時代が来るような気がしています。その戦いと向き合う時に、じゃあちょっと歩こうかとか、ちょっと太陽の下で日向ぼっこしようかみたいなことも、人間には残っていきそうです。
だから、AIに代替され得ないのではなく、「代替させたくない」ものが残り続けるんじゃないかと思います。
安野:そうですね。サプライヤー側としては供給したいことが残るし、バイヤー側としては、価値資産として評価し、享受したいと思うものが残るでしょうね。
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※安野氏はじめカルチャープレナー アワード受賞者については、ForbesJapan (フォーブスジャパン) 2024年 11月号「世界を動かすカルチャープレナーたち CULTURE-PRENEURS 30」 で