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2024.09.16 13:15

今治発イケウチオーガニック タオル界の風雲児が描く「ブランド航海図」のこれから

IKEUCHI ORGANIC 池内計司代表(左)と、阿部哲也社長 タイプは正反対だという

オーガニックで会社を拡大することには興味が無い

──お客様の眼差しに支えられながら、御社の理念を変わらず追求していくと。
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阿部 そういう考えの人じゃないと、イケウチオーガニックにはこないと思うんですよ。というか来られない。

池内 阿部に巡り会えたのも、運が良い悪いというより、そうした人材を引き寄せるものづくりをしていたからです。それを続けている限りは、阿部が「欲しい」と感じる人たちもうちに入ってきてくれる。私が「お金にしか興味がない」と言っていたら阿部は入社していなかったでしょうしね。

おそらく、皆さんが思っている成長と、我々が望んでいる成長はまったく意味が違うと思うんです。「オーガニックビジネスで社を大きくしよう、たくさん売ろう」というのは、「お客様に嘘をつく」ことに限りなく近い。そこには興味がありません。お客様に近いところで物を販売していきたい、それが唯一の望みです。

「子どもが継がず寂しい」ではない

──最後に事業承継をされた方、これから臨まれる方へのメッセージを頂戴できますか?
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池内 僕は周りから「子どもが継がなくて寂しいね」と言われてきました。でも僕にとっては、イケウチオーガニックというブランドそのものが子どもと同じくらい大好きな存在なんです。

だからこそ、永遠に続いてもらわないといけませんし、そのためには親族内外問わず「一番ふさわしい人」に継いでもらわないといけない。親から子への承継ばかりなのは、資金繰りの問題です。金融機関が親族外後継者への融資に難色を示す限り、中小企業は残らないですよね。

阿部 いみじくも池内が申し上げたように、上場企業と中小企業では事業承継がまったく異なります。今のままの仕組みだと、中小企業は親族に頼らざるを得ない。

金融の話が出た通り、資本主義経済下においては他に選択肢がないわけですが、この無理がある仕組みは早晩崩れると思います。

──御社はどのように金融の課題をクリアしたのでしょうか?

阿部 鎌倉投信の存在が非常に大きかったですね。 中小企業を理解して、資本と同等の扱いのもと当社が発行した社債を引き受け、ロングスパンで支援してくださっている。

普通のファンドでしたら出口ありきですから、絶対にやっていけません。その点、うちは非常に恵まれていたというか、レアケースだと思います。

ただ、この仕組みが広がっていけば、中小企業でも血族以外の方が継ぐことが可能になる。一番の問題は資金繰りですから、ぜひイケウチオーガニックのケースを実験台にして、ひとつでも多くの中小企業を救ってほしいですね。

そして忘れてはならないのは「この事業が続いた先にどういう社会があるのか」をきちんと想定しておくこと。そうでなければ、社の存続すらできない状況に陥ってしまいます。全ては時代と空気が決めること。

目指すべきものを見据えて、タスクをひたすら実直にこなしていく。これは経営者だからではなく、人としてやるべきことだと思います。

社長としては、とにかく「社を継続させる」。池内が私を「いつか経営者に」と採用したことは知りませんでしたが、私もここで働くと決めた時「何としても社を未来に繋ぐ」と誓いました。

あの時灯った「継続」の意志だけは、揺るがずに燃やし続けたいと思っています。

(本記事は、事業承継総合メディア「賢者の選択 サクセッション」の記事の後編を編集しています。)

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