経営・戦略

2024.10.03 11:15

豊岡市が渋谷ヒカリエd47食堂の定食メニューに「詰め込んだ」もの

ここぞとばかりに豊岡の個性や魅力を詰め込んだ「豊岡定食」


ほかにも、トークショーや、こんなイベントも開催したという。
 
「城崎から浴衣を持っていって、浴衣のワークショップを開催しました。当時の城崎は若い女性をターゲットにしていたので、城崎温泉街を浴衣で歩く楽しみを伝えたかったんです。若い女性がターゲットですので、その層へリーチする媒体ということで『OZmagazine』にお声がけし、表紙モデルをしていたKIKIさんと写真家の川島小鳥さんに城崎に来てもらい、浴衣でまち歩きする写真撮影もしました。ワークショップで浴衣の楽しさを実感してもらいつつ、その後のトークショーで、KIKIさんに城崎で撮影した写真を見ながらトークをしてもらい、『でも、浴衣を着て一番映えるのは城崎ですよ』と伝えました」(田口さん)
 
さらにたくさんの人を驚かせたのが、ヒカリエのギャラリーaiiima内で再現した豊岡市長室。豊岡エキシビション開催中は、来場者が市長の執務の様子をその目で見ることを可能にした。

「全国的にあまり知られていなかった地方都市が、渋谷駅真上のヒカリエに市長室を作ったということでバズりました。俳優の柳生博さんが日本野鳥の会の会長をされていて、豊岡エキシビションにも毎年来てくださっているのですが、打ち上げ的な交流会の席で市長に対して『情報発信の革命が起こったね』と言ってくれたと聞いています」(田口さん)
 
好評を博すとともに、東京のメディアからも取り上げられた豊岡エキシビション。そのインパクトは全国レベルになった。
 
「他の自治体からも、予算はいくらで委託先はどこかという質問がきました。予算は数百万で市役所が自前でやっていますと答えると、いつも驚かれます(笑)。メディアもたくさん来てくれるようになりましたし、視察も増えました」(谷口さん)

「箱根の山を越えた大交流」を経て進化する豊岡市

情報発信で箱根の山を越えた手応えを感じ、豊岡エキシビションは丸の内や永田町など開催場所を変えながら交流人口を増やしていった。課題を抱えた地方自治体がチャレンジを成功させた要因を、2人に振り返ってもらった。
 
「何かアクションしなくちゃいけないし、変えていこうという機運がすごく高まっていたタイミングでしたよね」(田口さん)
 


「ワクワクしていましたね。大交流課は市役所らしくない課で出島のようだと言われたことも(笑)。田口くんと知り合ってから、豊岡のPRやプロモーション、演劇のまちづくりや専門職大学の誘致など、今までやったことのないことをするようになりました」(谷口さん)

まちの変革期にエネルギッシュな取り組みを進めた田口さんと谷口さん。お互いのことはどのように映っているのだろう。
 
「田口くんみたいな人が豊岡にいたんだなと驚きました。きっと、僕とは全く違う高校生活を送っていたんだろうな(笑)。現在、僕は大交流課ではない他の部署にいるんですけど、田口くんと一緒に働いていたときの思考回路や感覚を持ち続けたいですね。『谷口さん、それはないよ』と言われたくないなと思いながら仕事しています」(谷口さん)
 
「僕はアイデアとかは持っているけれど、実務はできない。谷口さんは実務も回せる人で、スピード感をもってアクションを起こしてくれました。僕にとってある意味プロデューサーみたいな人ですね。組織の人間として判断するけれども、最終的には個で判断できる人です」(田口さん)

想いに共感し協働できる仲間は、意外にも正反対の個性を持っているようだ。
 
「僕と谷口さんは全然違うタイプで、補い合って広がっていけたんです。僕がファーストペンギンで谷口さんがフォロワーというわけではないと思っています。僕がもしかしたらファーストフォロワーなのかもしれないですね」(田口さん)
 
ファーストペンギンとフォロワーは逆転することもある。それぞれが異なる能力や想いを持っているからこそ、想像を超えた可能性を見出せる。互いをリスペクトし、補い合いながら共存する関係性がまちを強くしていくのかもしれない。

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