サンフランシスコのYondrというスタートアップが開発したこのポーチは、スマホよりも一回り大きい細長い筒状の形状で、端末を中に入れてボタンを押すと、専用のツールで磁気ロックを解除しない限り、スマホを取り出せなくなるものだ。
テキサス州のリチャードソン高校は先日、このポーチを2800人の生徒たちに配布した。生徒たちは、朝の登校時にこのポーチにスマホを格納して端末を利用できない状態にし、放課後に学校の出口に設置されたYondrのツールでロックを解除して帰宅する。
リチャードソン高校で歴史を教える教師のマーティン・ラッセルは、このポーチを導入して以来、生徒たちの教室での態度が一変したと話す。「生徒たちは再び授業に関心を持ち、質問をするようになった。彼らがスマホばかり見ていた時と違い、繰り返し説明する必要もない。休み時間の生徒同士の会話も増えた」と彼は語った。
今から約10年前にYondrを設立したCEOのグラハム・デュゴニは当初、コンサート会場などでスマホの使用を制限するためのツールとして、このポーチを開発したという。しかし、その後、この30ドルの磁気ロック付きポーチは、学校向けのツールとして人気を博すようになった。
SNSが子どもたちのメンタルヘルスに与える影響が議論を呼ぶ中、スマホの使用を制限する学校や学区は急増している。2023年のピュー研究所の調査によると、多くの生徒がソーシャルメディアを、「ほぼ常時」使用しており、米国の高校教師の大多数が、スマホによる生徒の注意散漫が深刻な問題だと述べている。さらに、人工知能(AI)を用いて同級生のヌード画像を生成するなどの行為も問題になっている。
「若者にデジタルツールとの付き合い方を教える最良の方法は、一日に少なくとも6~8時間、スマホから離れる時間を持たせることだ」とYondr創業者のデュゴニは述べている。