海外

2024.09.05 08:00

中高生の「スマホ断ち」を支援する米新興Yondrの挑戦

Yondrを設立したCEOのグラハム・デュゴニ

各州で「学校でのスマホ禁止」が法制化

学校でのスマホの使用を制限する法律は、すでにフロリダ州やルイジアナ州、インディアナ州で施行され、サウスカロライナ州やミネソタ州、オハイオ州、バージニア州では来年施行される予定だ。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事やニューヨーク州のキャシー・ホークル知事も、州全体での制限や禁止を推進している。
advertisement

また、コネチカット州のネッド・ラモント知事も同様の計画を検討中で、特にYondrのポーチを解決策として推奨している。

デュゴニは、アトランタや故郷であるポートランドの投資アドバイザー企業に勤務した後に、2014年に同社を設立した。彼はまず、7000ドル(約100万円)の自己資金でYondrを立ち上げて、サンフランシスコのベイエリアの学校を中心にポーチを売り込んで事業を拡大し、今では70人のフルタイム社員を抱えている。

Yondrの契約額は、規模に応じて異なるが、生徒1人当たり約15ドルから30ドルで、ポーチに加えて解錠用の磁石やシステム導入のための現地サポートが含まれる。一部の学区はこの会社に数百万ドルを支払っているとの報告もある。
advertisement

デュゴニは、Yondrがすでに黒字化を果たしており、顧客が世界の20以上の国と全米50州に広がっているとフォーブスに語った。同社は民間の投資家を持つが、彼らの名前や収益や評価額を開示していない。

現状でYondrの最大の学校顧客であるニューヨークでは、市内の公立中学校の3分の1以上で同社のポーチが使用されているという。デュゴニによると、昨年は世界の100万人以上の生徒がYondrを使用し、その数は2024年末までに200万人に達する見通しという。

しかし、学校での拡大には課題も存在する。スマホやSNSと共に育った生徒たちは、そのツールを規制する規則に反発し、時には親たちが抗議することもある。さらに、TikTokやYouTubeではYondrのポーチを専用ツールを用いずに解錠するための動画が膨大な再生回数を記録している(Yondrはこれらの回避策にどう対処しているかの質問には回答しなかった)。

しかし、Yondrがこれらの課題を乗り越えて、学校の支持を獲得できた理由の一つは、同社がポーチだけでなく、学校が校内でスマホを禁止するためのポリシーの策定を支援し、それを成功させるためのプログラムを提供したことだ。

「学校のカルチャーを変えようとするならば、単に製品を提供するだけでなく、コミュニティ全体の理解と支持を得ることが必要だ」とデュゴニは述べている。

リチャードソン高校の校長を務めるクリス・チョートは、Yondrのポーチを導入して以来、生徒同士の会話が増えて、カフェテリアや教室が活気づいたと述べている。「ポーチの導入が、思った以上にスムーズに進んだことに驚いている。10代の子供たちにとって、スマホを取り上げられるのは大問題かもしれないが、実際のところ学生からのフィードバックの大多数は『大丈夫だ、思ったほど悪くない。友達と話すことが増えた』というものだった」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事