増田:いや、思ってない。知識としてはみんな知ってる。でも自分事として計画に組み込める人は圧倒的に少ないんだよ。うちの社員もそう。お客さんが喜ぶことばっかりやって、ぜんぜん儲からへん。
小山:(笑)。
増田:「代官山 蔦屋書店はほんまに社会貢献で世界一か?」って訊くわけ。「働いてて幸せか?」「お客さん、喜んでるか?」「儲かってるか?」って。4つの要素に、真剣に取り組むのよ。「儲かったほうがいい」じゃないねん。「どこまで儲けるのか」ということを、目標にする。
小山:確かに儲からないと社員は幸せにならないですしね。
増田:配当できないしさ。だからとことん、真剣に考える。あと、刻むのよ。できれば90日で。こんな変化の時代に年間計画とかあかん。そんな先なんて、わかるわけない。
小山:90日ってすごく短いスパンですね。
増田:いや、ものすごく長いよ。毎日分単位で計画を組めば、いろんなことができる。
小山:先輩、もう、さすがの一言です!
今月の一皿
思い出の味は「父がつくってくれたおかき」という増田の言葉から、生ハムを乾燥させたおかきの卵かけごはんを。
blank
都内某所、50人限定の会員制ビストロ「blank」。筆者にとっては「緩いジェントルマンズクラブ」のような、気が置けない仲間と集まる秘密基地。
小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。京都芸術大学副学長。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わり、2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。
増田宗昭◎1951年、大阪府生まれ。同志社大学卒業。83年に「蔦屋書店」を創業。85年、カルチュア・コンビニエンス・クラブを設立し、TSUTAYAの全国展開で事業を拡大。カルチュア・インフラを創り出す企画会社のトップとして現在も精力的に活動中。